あったかいコーヒーがおいしい季節(ドリップダラーの話〉

今年の夏は暑かったですね。それで、コーヒーの豆の注文はだいぶ減りました。その代り、と言っては何ですが、水出しコーヒーにはまった人もいてくれました。

 

さて、そろそろあったかいコーヒ―が恋しい季節になってきました。

 

この写真は、私たちが少人数用のコーヒーを淹れる時愛用しているセットです。

 

松屋式の金枠、細かいメモリのついたメジャーカップ、そして黒い円筒形のものは、「ドリップダラー」、これは、愛知県西尾のフレーバーコーヒーの店主中川氏が開発したものです。

今年の4月にお店をおたずねしたときに買ってきました。これで2人前のコーヒーができます。蓋に大小2つの穴があいていて、大きい方から沸かしたお湯を入れ、小さな穴からコーヒーの上に注ぎます。そもそもどんなポットを使っても、一定の量のお湯を注ぎ続けることはほぼ困難、それがこのポットを使うと簡単にできます。ま、当然ですよね、ごく小さい穴なので、それしか出られないのですから。しかし、この穴をどうするか、相当研究したみたいです。前にも書いた「週刊フレーバー」で、何週間もかけてみんなでああでもない、こうでもないとやった結果の商品化、うちの夫はそれを全部見てるみたいですけど。始めは紙コップに穴をあけるとこからだったらしい。商品としては、フレーバーコーヒーのマスコットのクマさんが印刷された黄色い紙が外側にあるのだけれど、それは取っちゃいました。

 

さて、このドリップダラー、使ってみると便利です!

松屋式の淹れ方のポイントは、お湯を注ぐ時に、豆の粉をひたひたの状態に保つことにあるのですが、手元で調整しなくても勝手に保たれているわけですから、ラクですよね。

豆25gに対して150ccのお湯を注して、そこで金枠を外し、逆の大きい方の口を開けて残ったお湯を入れる、ほぼ300ccが入るようになっているので、ちょうど倍に薄められます。

一般にはこれで2人前、炎の雫では、コーヒーはたっぷり目で出しているので、33gで180cc+180ccの360cc、この場合は、薄めるお湯はちょっと足さなくちゃならないけど、小さい穴からひたひたにするところはクリアです。5人用の金枠というのもあって、グループで来たお客様の時やイベントの時はこちらで、その場合はコーヒー用のポットでたてます。50gで600cc、または60gで650ccたてることが多いです。そもそも、松屋式の基本は、60gで650cc,と会長にレクチャーしてもらったときにそう教わりました。松屋式は業務用の方法で、いわばプロ向き、一般の人に教えるようになったのは結構最近のことらしいです。だから、お湯を注す技術もちゃんと持ってる人しかできなかったんでしょうね。それを、件の松屋式の伝道師・中川氏が、どうやったら素人さんでもできるか一生懸命考えて結果のドリップダラーです。金枠とドリップダラーがあれば、高~~いドリップ用のポットなんか買わなくても、おいしいコーヒーが淹れられます。

 

あ、あと、松屋式の場合は、豆を粗く挽くというのがありました。一般のコーヒー屋さんで買う時は、一番粗く挽いてもらってください、と中川氏は言っています。それでも、ミルの種類によってはまだ細かいこともあります。ちなみにうちは、カリタのナイスカットミルでは粗さが足りないと、フジロイヤルの業務用R440というのを買いました。手引きのミルを調整して粗く設定することもできるかと思います。炎の雫では、松屋式用に挽いてと言ってくれれば対応できます。(このあたりのことは5月に書いたブログ「松屋式宣言」を見てください)

 

と、ここまで書いてきて思ったのですが、ドリップダラーを使ってカリタで入れてみたらどうなんだろう?お湯の出口が小さすぎてうまくいかないかしら?でも細~くお湯を注すのに使えるかも。考えてみたらまだそれはやったことがなくて、よし、やってみましょう。

この、どうなるんだろう、やってみよう、の精神こそ、フレーバー魂かもと思います。

結果はまた今度。

 

秋深まり、あったかいコーヒーがおいしい季節になりました。

来店のお客様も、暑かったこの夏、ほとんどの方がアイスコーヒーだったのですが、みなさんあったかいコーヒーに変わってきました。中には、ひと夏ずっとホットで通した常連の方もいます。40度の名古屋でずっと東ティモールのコーヒーをホットで飲み続けてくれた方は、「暑くても、いや暑いからこそコーヒーが美味い」と書いてくれました。そんなつわものもいましたが、豆を買ってくれる方も、「あったかいコーヒーが飲みたくなってきたから送ってね」とメールしてきて、誰もがそう思うらしく、このところコーヒー豆の注文が増えています。有難いことです。夫は焙煎三昧の充実した日々を送っています。ところで、うちの夫も、暑い夏も朝晩はホッとコーヒーでした。私はもっぱらアイスカフェオレとかでしたけどね。

 

 

今年は実り年らしく、柿も花ゆずもたくさんとれました。柿なんて気候が暖かすぎて、渋抜きをしてる間にダメになっちゃったのもありましたが、それでもお友達に送ったり、干したりいろいろできました。ゆずは何度か採って、来た人に差し上げたりもしましたが、それでもまだいっぱいなっています。これかrの季節、お鍋で大活躍してくれそう。

 

庭のアジサイは、どういうわけか今年はお化けにならずセピア色の花のままです。

窓の外には、ススキとセイタカアワダチソウの黄色い花、(運がよければ?)電車が通るのが見られます。松屋式で淹れたすっきりとクリアーなコーヒーと手作りのスイーツで、深まる秋を感じながらほっこりしてください。家庭では絶対作れないタイプと評判のカレーやドリアなどの軽食もあります。ご来店をお待ちしています。(10月20日 佳)

 

★イベントのお知らせ

11月4日(日)13:00~の「カンタ!ティモール上映会」ミニコンサート付き

1部は上映会、2部ミニコンサート「残されたものは歌を継ぐ」出演:金井いずみ、魅酒健太郎、水野たかし。1ドリンク付き2000円。

ティモールのコーヒーとハーブティーをご用意しています。

まだお席に余裕あります。限定15人(駐車場は5台)ですのでご予約お願いします。

 

 

アートな日々~大地の芸術祭

280mこの夏は、ほんとうに暑かったですね。

暑い、暑い、と言っているうちに8月が終わってしまいました。

 

さて気が付けば9月。この秋は芸術の秋かな。

 

この前の日曜日、東京にいた時から続けている「ごはんの会」で、アートしました。ごはんの会は、知的障害を持つ若者たちとごはんを作って食べる会です。彼らが高校を出て働き始めてから作った会でもう5年続いています。中学1年生の時からなのでもう10年以上の付き合いです。ごはんを作るだけでなく、たまには工作や手芸をしたりします。今回は、みんなのたっての希望で、レストランでのランチになったので(と言っても区民センターのレストランですが)午前中はアートすることにしました。

草間彌生さんのかぼちゃをイメージしたアート、切り抜いたかぼちゃを貼って、思い思いにスタンプやペンで模様を付けました。これがびっくりするような出来で、素敵なアートが出来上がりました。写真は見本に、と私が作ったものですが、こんなのまったく目じゃない!アートだぁと思いました。

 

さて、次の月曜日から、大地の芸術祭~越後妻有アートトリエンナーレ2018~に行ってきました。2泊3日の濃~い旅でした。面白かったぁ。

 

一日目はあいにくの雨、まずは越後湯沢で名物・へぎ蕎麦を食べてから予定を変更して十日町へ。十日町には里山現代美術館「キナーレ」があるので、雨の日でもOK 。大地の芸術祭に合わせて、「方丈記私記」という展示をやっています。建築家とアーティストによる四畳半の宇宙だそう。実際にお店になって営業してるものもあり、楽しい。キナーレのメインは、レアンドロ・エルリッヒの「空の池」。1階ではプールみたいに水が溜まっているだけなのに、2階の真ん中から見ると、何とも不思議、立体になってる! 他にも、いろんなアート作品があり、パフォーマンスもやってる。雨の中、エントランスの足跡マークの所に立つと、いきなりマンホールのふたがあいて、モグラ=人が出て来てこんにちわって言うのでびっくり。半日遊んで夕方隣のまつだい駅へ移動。

 

今日は三省ハウスというところに泊まります。廃校になった小学校に作られたゲストハウス。男女別の部屋で2段ベット。食事は食堂で、消灯は11時。ベッドを指定されシーツを渡されてお部屋へ、このベッドの中だけがマイスペース。が、妙に落ち着く気がします。夫とは携帯のメールで連絡を取り合い、なんか新鮮な気分。地元のお野菜中心の夕食、お酒もあります。美味しかった! ここの談話室は、部屋自体が作品になっていて、宿泊者限定のナイトプログラムもありました。翌朝も、おいしいご飯と野菜の朝食をいただき、駅まで送ってもらいました。

 

2日目、今日は午前中はまつだいで、午後は絵本と木の実の美術館に行く予定。昨日と打って変わっていいお天気です。まずはまつだい雪国農耕文化村センター「農舞台」へ。すると、農舞台の外側の岡の上に、ありました、草間彌生「花咲ける妻有」。かぼちゃアートしたばかりなので、なんか親近感。でも本物はすごい、迫力が違います。これは草間彌生さんが屋外作品で一番気に入ってるらしい。すぐ前にはカバコフ夫妻の「棚田」、棚田の中に黄色とブルーの農夫が立っている。違和感は全然なく、風景と馴染んでいる。まずは企画展を見ましょうと「イダキ・ディジュリドゥ、オーストラリア大地の音」展へ、これがまた面白い! アボリジニの笛なんだけど、音と振動を体感できるし、制作過程のビデオも見られるし、おまけにアボリジニの美術の本がおいてあってそれがめちゃくちゃ面白くてはまってしまいました。いけないいけない、外も回らなくちゃ、と農舞台周辺のアート散策へ。ここいらには30以上の作品が自然のなかに点在しています。歩いて作品に出合って、また歩いて作品を見つけて、とにかく楽しい。カバコフ夫妻の新作・人生のアーチは山の中に埋もれるようにしてありました。なんだか心惹かれたのは、「砦」という作品。栗の木と大きな石を守るようにぐるっと並んで立つ黒い木、顔がついているみたいな木、高さはそれぞれ。ちょっと異空間になってました。いくら時間があっても足りなそう。

でも、午後はもともとの目的である「鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館」へ行かなくちゃ。十日町から1日2本しかない路線バスに乗って向かいます。30分ほどで鉢に到着。ここも廃校になった小学校。空間絵本としてよみがえりました。「学校は空っぽにならない」というコンセプトで、学校に住むお化けたちが教室や体育館、廊下で生きています。着いたとき、ちょうどもうすぐ田島征三さんのトークイベントがあると言われ、お話を聞くこともできました。そのおかげで名物の野菜どっさりカレーは食べそびれましたが、代わりにスイーツをいただきました。ホントに楽しい空間で、絵本も自由に読めるし、ショップもあるし、カフェもある。今年の作品は「カラダのなか、キモチのおく」、詩人のアーサー・ビナードさんとの共作で、マムシをテーマにした外の空間絵本、鉢集落の人に習った籠編みで作られた巨大マムシを通って美術館の入り口に至ります。ここでもやっぱり時間が足りない。でも5時のバスを逃すと帰れないので十日町へ帰りました。

この日はホテルの人に教えてもらった居酒屋さんで夕食。これがまた、すっごく美味しくてしかも安かった! 大満足。また十日町に来ることがあったら、ぜひまた来たいと思いました。お店の名は「豊吉」さん、機会があったら行ってみてください。

 

最終日3日目はオフィシャルバスツアーに参加します。車のない私たちには絶対に行けないところに連れて行ってもらおうと、考えた末にバスツアーを選択しました。ところが、これがものすごくハードでした。まずガイドさん(超ベテランな感じのそれなりの年の女性)が、このツアー結構歩きますよ、と。それでもバスで回るんでしょなんて最初は思っていたけど、とんでもない。始めは清津峡渓谷トンネルにあるライトケーブ、トンネルの中が長い。一番端っこにある作品はすごくきれい。それから、磯部行久倉庫美術館、土石流のモニュメント(東日本大震災の時流れてきた土砂を中に詰めてあるそう)とサイフォン導水のモニュメント(地下280mを流れる水力発電用の水の道を可視化)、田んぼの中の壮大な作品。奴奈川キャンパスで妻有ポークをメインとした昼食。ここにも作品がいっぱいあるけど、時間がなくて見られない。それから星峠の棚田を見て(こんなところでも人はお米を作ってきたのかと思いつつ、棚田の美しさに感動)、脱皮する家(鞍掛純一というアーティストと日大芸術の学生がのべ3000人で彫刻刀で彫った家)でもバスの駐車場から結構歩く。さらにまつだい商店街の中の作品をいくつか見るのに、隣接してるわけもなく、かなり歩く。その後、農舞台へ。

ここは私たちは2度目だったので、郷土博物館を見て、こんなに時間が少なかったらほとんど見られない、昨日行っといてよかったと思う。歩く距離と忙しさにかなり疲れてきて、極めつけは、「川はどこへ行った」。かつての信濃川が流れていた場所にフラッグを立て、昔の川床は今より25m高かったということで、足場のようなものを組んで横断幕を貼ってある。ここがまた、バスの駐車場から遠い。それも早足で歩かなくちゃで大変。最後はキナーレだったけど、ここも前に行っといてよかったね、と言いながらコーヒーを飲んで休憩しました。越後湯沢まで戻って解散、そのまま新幹線に乗って帰ってきました。

このバスツアー、約9時間のコース、この日の歩行数は19000歩! バスに乗って回ったのにですよ、びっくりでした。あぁ疲れた! でもおもしろかった!!

写真を適当につけときます。どこがどこか、考えてみてくださいね。  

 

さて、芸術の秋、ライブも。

 

半年ぶりの寺田町です。

今回は初の昼間のライブ、10月8日、祝日の月曜日の午後です。

夜はちょっと‥という方、ぜひお出かけください。もちろん、夜でも来てくださってる方もぜひ、違った雰囲気が味わえるかもしれません。

お待ちしています

 

いつもは渋い写真のチラシ作っていますが、今回はちょっと変えてみました。これもアートな日々の影響かもしれませんね。

 

9月16日 佳

夏!暑っい!!

毎日暑い!ホントに暑い!

私たちは、外房で4度目の夏ですが、今までで一番暑いです!!

6月に梅雨が開けちゃってこの暑さ、大変です。

皆さんくれぐれも熱中症に気を付けて、何とか乗り切りましょう。

 

夏と言えばアイスコーヒーです。

炎の雫のアイスコーヒーは、基本的には松屋式で濃いめに淹れていますが、たまに水出しのアイスコーヒーがあったりします。運がいいと(?)飲み比べることができます。

写真で違いが判るでしょうか?左が松屋式、すっきりしてクリアだけどしっかりした味わい、シロップやミルクを入れても負けません。右は水出し、こちらはちょっとさっぱりめ、そのまま飲むのにいい、何杯でも飲めます。

ちなみに、水出しコーヒー用のパックの販売もしています。

 

この暑さの中、草は元気です。どんどん伸びます。バジルが育って大きくなっていい匂い、枯れていくのはもったいないと、バジルペーストを作りました。フードプロセッサーではうまくいかなくて、ずっと使ってなかったジューサーを引っ張り出して、何とかできました。これを使って、トマトとバジルソースのパスタを作ったら美味しかった!

バジルの隣に青じそが繁っていて、時々お昼にそうめんに入れたりしているけど、そんなもんじゃ全然減らないので、青じそペーストも作りました。ついでにドライのシソも。まだ食べてないけど、どうやって食べようかな。

 

これほど熱くなる前に、お店の看板のリニューアルをしました。

3年経ってないくらいですが、こんなに汚くなっちゃって、コメリで買ってきた木にニス塗っただけだから仕方ないけど、何とかしようとずっと思ってました。それで絵の所以外を塗りました。思い出すと、去年の夏は家の壁塗りをして絵を描いたような…。その前の年は、塀の石に絵を描いたかな、だいたい最初の年はお店のエントランスのペンキ塗りしてたし、夏になるとなんかペンキ屋さんしたくなるみたい。変ですね。

さて、リニューアル前と後、どうでしょう?きれいにはなったよね。

 

コメリで勧められてシューガープラムというミニトマトが甘くておいしくて買って3年目。今年は黄色いトマトとシュガープラムの2本を植えました。梅雨時は妙に涼しい日があったりしてなかなか色がつかなかったけど、このところ毎日食べられています。黄色のトマトも甘くておいしい。きゅうりも1本苗植えただけでも、ずいぶん採れました。でももう終わりかけてる、ちょっと終わるの早くない?暑すぎるからでしょうか。

最後に、ノウゼンカズラを。

南国的な花ですよね。これはものすごく強い植物。

うっかり庭に植えてはいけない植物の上位に入ってます。うちは藤棚件キウイ棚の所に植わってます。冬になると、まったくの枯れ木、死んでるかと思うくらいですが、時期が来るとしっかり出てきます。その上、いろんなところに飛んでるみたいで、何か所かにすでにあります。引っこ抜けなくて地面ギリギリで切っちゃってもまた出て来てちゃっかり咲いてます。植物の力は凄い!

 

植物の力と言えば、何といっても雑草は強い!!

うちの庭というか駐車場、小さい草がどんどん生えて来て、ちょっとほっとくと結構大きくなってる。というわけで、夕方日が陰ったらそれを抜いて、それから水撒きをするというのが私たちの日課になっています。その後、外に腰かけて風を感じるのどかなひと時、気持ちいいです。

ところが、このところ、あまりにも暑くて、夕方風もなかったりして、なかなかそれができません。異常な夏、早く普通の夏に戻ってほしいものです。 (7月19j日 佳)

 

 

 

 

 

松屋式宣言

 

 

今回は珍しくコーヒーの話。

 

松屋式ドリップにはまり、お店で出すコーヒーを松屋式で入れるようになってほぼ1年。

 

満を持して、宣言します。

 

炎の雫は 

 松屋式ドリップの店です!

松屋式ドリップをご存じでしょうか?

名古屋にある老舗の珈琲店、松屋コーヒーで考え出された抽出方法です。

コーヒー通なら誰でも知っているというわけはありません。関東では、知っている人の方が少ないかもしれません。何故そんなものにはまったのかというと…

 

そもそも始まりは、夫がユーチューブで松屋式の一番弟子とも言えるフレーバーコーヒーという豆屋さんの中川さんという人が毎週放送している「週刊フレーバー」という番組を見たことでした。夫は「何だこれ、おもしろい」と思ったらしいです。それから過去に遡ってすべての回を見たらしい。そのうち松屋式でコーヒーを入れてみることをやりだしました。そのころ、夫はコーヒーに関するいろ~んなことをやって、いろんなもの買ってました。カリタだ、ハリオだ、金属製フィルターだ、エアロプレスだ、サイフォンだ、マキネッタだ、そこへ松屋式、またかと思いました。それで当初はあまり取り合わず、ハイハイという感じでやり過ごしていました。その間、夫はいろいろ実験して、着実に松屋式を研究してたみたいです。

 

 

私が松屋式に出会ったと言えるのは1年前。名古屋にライブに行ったついでに、松屋の本店に寄りたいというので行きました。私たち、旅先で自家焙煎珈琲の店に行くのは定番です。松屋本店は気取った店では全然なくて、言ってみればセルフではないけどドトールに近い感じ、値段もリーズナブル。入り口の方は、コーヒー豆や器具のみならず、お菓子と

かいろいろ売っててカルディみたい。そこでお茶を飲んでると、カフェの入り口近くに実演コーナーというのがある、本物の松屋式が見れるんじゃない?と、店員さんに聞いてみました。今担当者がいないので、という返事、なんだ残念、まいいかと思ってしばらくすると、そのコーナーに来てがたがたしている人がいる、夫があれ松屋の会長かも、というので再度聞いてみると、実演してくれることになりました。これが松屋の会長との出会い。その時実演だけではなく、丁寧なレクチャーを受け、夫はちょっとやってみてと言われてやってみることになったり。結局3種類のコーヒーを淹れて飲ませてくれて、1時間半くらいかかったかな。超高級豆・ゲイシャまでごちそうになりました。

 

 

私は、この時の会長の説明で、松屋式にはまりました。ものすごく納得のいく説明でした。特にその通り!と思ったのが、縁までお湯をかけちゃいけないって言うけど、それじゃ縁のコーヒーはかわいそうだよね、ちゃんと縁までかけて味を出してあげようという説明。そうなんです、今までコーヒーを淹れる常識と言われていたもので、なんで?と思っていたこと、いくつも覆してくれました。なるべく細くお湯をそっと垂らす、なんていうのも、お湯にある程度の勢いが必要だから大胆に、なんて言ってくれて、私はすっかり会長のファンになりました。

 

松屋式のうたい文句は、「魔法の金枠と魔法のペーパーフィルター、そして少しの時間をかけてコーヒーをおいしくする魔法、それが松屋式ドリップです」

ドリッパーは針金でできた金枠、これはコーヒーの粉が自由に膨れられ、蒸気を逃すことができます。ペーパーは粉が膨れる圧力に耐えられるよう糊付けではなくミシンで塗ってあります。そして時間、松屋式では少量のお湯をかけたら蓋をして3分間蒸らします。それから、豆を荒く挽くこと、粉をセットする時に穴を掘ること、30cmの高さからお湯を注すこと、半量を抽出してそれをお湯で薄めること、などなどありますが……、詳しくはまた後日。

 

松屋式、何といっても最大のポイントは味わい、すっきりしていて本当に美味しいです。いわゆる雑味がほとんどありません。こんなコーヒーが、簡単に淹れられるなんて、ホントにびっくりです。

名古屋から帰って、会長に言われたようにやってみました。私は松屋式初体験、でもね、上手に淹れられました。うまくいったから、さらにはまりました。それからお客さんにも松屋式で入れて出すようになりました。

 

そして今年4月、再度名古屋に行って(これは「カンタティモール」のアレックスを偲ぶ小さな音楽会のためでした)今回は、かのフレーバーコーヒーに行ってきました。場所は愛知県西尾市、名古屋から小一時間。ここはカフェではなく珈琲豆の販売店。いつも週刊フレーバーを見ている夫はここかと感慨深げ。この日はたまたまもう一組のお客さんがあり、4人で中川氏のレクチャーを受けました。カリタで入れたのと松屋式と飲み比べて、私たちが持っていたティモールコーヒーのドリップバッグも普通に淹れるのと3分蒸らす松屋式で入れるのを比べてみる。家のドリップバッグおいしいんだと認識。(これは中川氏が入れてくれたから?)中川氏はかなり個性的な方で、なんせ面白い。独特の語り口でどんどん喋り、彼のペースにのせられていきます。なるほどね、この口調でいつもユーチューブやってるんだ、ファンが多いのも納得です。結局ここにも1時間以上いました。

去年松屋の会長に会って教えてもらったこと、それ以来コーヒーは松屋式で入れていることを告げ、千葉で松屋式やってることって言っちゃっていいですか?と聞くと、どんどん言っちゃってくださいとの答え。東ティモールのコーヒーを中心にしていると言うと、「東ティモールいいですねぇ、ストーリーが作れる、どんどん売りましょう」だって。

彼にOKと言ってもらったことでなんか気が楽になります。帰ったら松屋式宣言しようかと話しながら新幹線に乗って帰ってきました。そしてカフェの入り口のフェンスに「松屋式ドリップの店」なんて看板も取り付けました。

 

さて、松屋式のポイントに、豆を荒く挽くというのがあります。今までカリタのナイスカットミルを使っていたのですが、松屋式にはどうもいまいちと夫は言います。ころっとした小石みたいに挽けなくて薄く削いだみたいになっちゃうと。フレーバーで中川氏に聞いてみると、ミルを変えればいいと、だって高いでしょう?というと、R440ならヤフオクで安く出てるよという。それでヤフオク見ました。富士ローヤルの業務用ミルR440、いっぱい出てました。ピンからキリまで、そして人生初のヤフオクやりました。おもしろかった!そうかそうなってるのかと、いろいろ思ったけど、それもまた別のお話。とにかく、R440手に入れました。6501円!!安かった!

 

 

富士ローヤルのR440、メモリは1から10まで、0.5刻みだから20段階。1から10まで挽いてみたのがこの写真。

ちょっとわかりにくいけど、実際にはおーって感じでした。

 

そうして、今、炎の雫には、大小2つのミルが並んでいます。まるで親子みたいですね。

 

松屋式には、R440のメモリ9か9.5で、アイスコーヒー用の水出しパックにはカリタのメモリ1で、なんて使い分けています。

 

最後にもう一度 炎の雫は 松屋式ドリップの店 です。松屋式飲みに来てください。

 (6月16日 佳)

 

 

動物園に行ってきました

千葉市動物園に行ってきました! すっごく面白かったのでご報告を。

 

引っ越してきた当初は、千葉のいろんなところにいってみたいと、よく出かけていったものです。

 

鴨川シーワールドは行ったけど、動物園は行ってない、そのうちねと思っていました。でも、千葉市動物園なので、まあ地方のよくある動物園かなと、あまり期待はしていなかったのですが、これが想像以上、新緑に囲まれたものすごく気持ちの良い空間に、のびのびと居る動物たち、見たこともないような動物もいっぱいいて、一日じゃ足りないくらい、ぜひまた行きたい場所になりました。

モノレールを降りて正門を入る、木々の中の道を進みます。モンキーゾーンのサル山が見えてきたところで、ものすごく大きな声で何かが鳴き始めました。「なんだこれ!?」声の主はけっこう大きい黒いサル、フクロテナガザルというみたい。のどに大きな袋があって、それを膨らませてびっくりするほどの大声を出す。園内に響き渡る声。これならジャングルの中で遠く離れた仲間と交信できそう。

(これは看板を写真に撮ったもの、こんなにうまく写せませんよね)

この動物園の特徴は、サル。26種類ものサルがいるという。なんだこれ、見たことないよこんなの、というサルが目白押し。キツネザルとかオマキザルとかマンドリルとかはまだいいものの、ブラッザエグノン、パタスザル、アビシニアコロンブス、カオムラサキラングールなんて聞いたこともない。わーぁ、おもしろーいってずっと言ってました。おなじみのオラウータン、チンパンジーも、ゴリラもいます。ゴリラは、草の中に座り込んで何か食べている。東京の動物園で見るような所在無げな様子はぜんぜんない。オラウータンの所では、「オスのフトシ君は今日は機嫌が悪く外に出たがらないので見られません。室内でのんびりしてます」なんて書いてありました。こんな動物園、なかなか無いです。

この他にも、動物科学館の中に、夜行性の小動物が展示されています。ショウガラゴは、暗い中でぴょんぴょん跳びまわっている。見ていて飽きない。跳躍力は半端ない。「いつも誰かしらが跳んでいるので人気が高い」とガイドブックに書いてありました。マーモセットやタマリン類など珍しい小型のサルも多くいる。くらいからうまく写真取れなくて、一番ましだったのがこのエンペラータマリンです。皇帝のような口ひげと王者の風格から名付けられたそう。威厳があります。

夜行性小動物のコーナーには、サルの他に、オオコウモリやフクロウ、キンカジュ―、アロマジロなど。ここは、結構暗くしてあるからか、みんな活発に動いてる。コウモリは飛んでるし、アルマジロは走ってる。よその動物園だと何がいるのか、どこにいるのかもよくわからないことが多いけど、ここではしっかり見られます。

 

 

科学館のバードホールでは、熱帯雨林に鳥たちが飛び交う。この木の上にナマケモノがいる。見つけてみようとあったので探してみると、見つかりました!木のこぶのようなところに張り付いて分かりにくい。見つけたら、思わず盛り上がって、幼稚園の子供とお母さんに教えてあげたりしちゃいました。(ツイッターはしなかったけど)

 

 

草原ゾーンには美しい草原がひろがりシカ(シタツンガ)がのんびり歩いている。

アフリカゾウ、キリン、シマウマとおなじみの動物。ダチョウやカンムリヅルなどもいて、本当に気持ちいい。

キリンのお尻はなかなかセクシー。

キリンの隣にはオリックス、かっこいいね。

かっこいいと言えば、ヘビクイワシ。

英語では、セクレタリーバード(書記官鳥)というそう。

この鳥、スマートで素敵です。

園長先生は、アフリカの草原にぽつんと立つ木の頂近くに立ってあたりを見回すこの鳥を見た時、神々しさすら感じたと言います。いいなあ、私も見てみたいなあ。

 

オオカンガルーは、みんなで同じ方を向いて座っている。最初、カンガルーだと思わなかった。カンガルーといえば立って跳んでいるイメージ。それぞれが、哲学的ともいえる表情をしている。表情がはっきりわかるくらいすぐ近くから見ることができるのに、カンガルーは人間を一顧だにしない。寄っても来ない。なんかカンガルーの尊厳みたいなものを感じる。

ライオン舎では、ライオンはひたすら寝てる。特にドアの前で寝ているライオン、仰向けになって気持ちよさそうに寝てる。ライオンというのは、一日16時間は寝ているのだそう。正しいあり方なのですね。多摩動物園のライオンなんて、ひっきりなしにライオンバスが来て、そこに肉がぶら下がっているからそれを取りにいかなくちゃならなくて、ずーっと働かされてる。かわいそうに本来のあり方じゃないんだと、多摩動物園のライオンに同情する。他の動物園でも、檻の中を行ったり来たりして、こんなに無防備に寝てるのは初めて見た気がします。

この日は、幼稚園の遠足デーだったみたいで、子供たちがいっぱい、お父さんお母さんもいっぱいでしたが、動物科学館とかサル比較舎とかは全然空いていて、じっくり見られました。時間がかかっちゃって、小動物ゾーンや子供動物園の方には行けなかったけど、それはまた今度ということにしました。結果的に、私たちは、千葉市動物園のスターたちにはほとんど会ってないみたいです。レッサーパンダの風太くんとか、プレーリードッグも、ミーアキャットも、今話題のハシビロコウも。また近いうちに行きましょう。

 

参考までに 「千葉市動物公園リスタート園長ガイドブック」(社会評論社・1400+税)、おすすめです。

私は、この本を千葉の本屋さんで見て、行ってみようという気になりました。興味があったら、ぜひ。(2018519日 佳)

 

上映会のお知らせ

527日(日)に「カンタ!ティモール」の上映会をやります。水野たかしミニライブ付き。

当日は1230開店、1330上映開始。1ドリンク付き1500円。定員15人、駐車場が6台までなので、ご予約をお願いします。詳細はお知らせページを見てください。

 

 

 

2018春のアルバム

春爛漫。花盛り。

今年は、藤の花がとってもきれい。まさに今、満開です。

藤の花には、クマ蜂がやってくる、ちょっと大きな蜂がぶんぶん言いながら蜜を吸っていて、こわいよ~と思っていたら、大きいけどそんなに危険じゃないらしい。

少し前は、レンギョウがきれいだったし、スミレは長く咲き続けています。コメリでよく咲くスミレと言って売っていたのですが、ホントによく咲きます。

空豆の花も咲いて、実がなるといいなと思っていたら、今日さやを確認、楽しみです。

アイビーも紫の花がいっぱい咲いているし、駐車場に敷き詰めた瓦の上に、たくましいタンポポの花が。余談ですが、この瓦やレンガを砕いたものに生えてくる雑草を抜くと、根っこまで簡単にひゅーっと取れて面白い、癖になります。1㎝ぐらいの草に10倍くらいの根っこがついているのが見れて、楽しいです。

春の味覚。

筍は今年はいいみたい。いただいたり、産直で買ったりして、結構食べています。筍って、直ぐゆでなくちゃならいから忙しい。でも本当においしい。

そして蕗。全然生えてこないとおもっていたらあっという間に玄関側が蕗だらけ。下茹でして、筋とって、めんどくさいけどやりました。手間だけど、おいしいですよね。

 

今年の桜は早かったですね。

お花見は千葉城へ行きました。

この日は、お弁当持っていきました。

おにぎりと、から揚げと、卵焼き。

公園のベンチで、見事な枝垂桜を見ながら食べました。

たまには外でお弁当もいいなあ。

千葉城のある公園は、思ったよりは広くなかったけど、満開の桜きれいでした。

お城は郷土博物館になっていて、千葉の歴史の勉強もできました。

 

帰りはのんびり歩いて、途中でコーヒー豆やさんに寄って、千葉で今年2本目の映画「シェイプオブウォーター」を見て、ごはん食べて帰りました。

 

春になると、一気に虫が増える。

引っ越してきた時から使っていて、ところどころ穴があいている網戸を、今年は張り変えることにしました。コメリで材料買って来て、夫がやりました。初めての網戸、でもうまくいきました!

 

さて、この季節、嫌な虫も出てきます。昨夜、夫がムカデに遭遇したそう。引っ越してきてすぐに、夫はムカデにかまれてるので、慌ててコメリに行って、ムカデ除けの薬を買ってきました。

雨が上がったら、撒かなくちゃ。これからは虫との闘いです。

(2018年4月18日 佳)

 

 

お彼岸 おはぎとライブと

お彼岸だから、

思い立って、おはぎを作りました。

何年ぶりでしょうか、久しぶりの手作りおはぎです。もち米と普通のお米を混ぜて炊く、それはわかっていても、どのくらい混ぜるんだっけ?とか、水加減は?とか、いろいろわからなくて、結局ネットで検索、それにしても便利な時代になりました。昔は、誰かに聞くしかなくて、若いころは、母に電話して聞いたりしましたっけ。

400gのもち米に200gのお米を混ぜて炊き、炊きあがったものをすりこ木でつぶす、それをお団子にして、あんこで包む。言ってしまえばそれだけなのですが、やってみたら大変です。最初、衛生面も考えて、ラップで包もうなんて思ったのですが、ベタベタくっついちゃってやってられない。結局、昔ながらの、ぬれぶきんをつかって、素手でやるのが一番と気づきました。

この量でやると、結構な数のおはぎができちゃいました。結果、お昼ごはんはもちろんおはぎ、おやつもおはぎ、明日の朝もおはぎ、それでも余るので冷凍しました。

思い出してみると、子供の頃、お彼岸になるとおばあちゃんと一緒におはぎを作ったものです。おはぎづくりは一大イベント、前の日から小豆を煮て、当日はお米を炊いたものをお餅つきみたいに撞いて、あんこだ、きな粉だ、ごまだといろいろ作って、できたてのつまみ食いに始まり、お昼ごはんも夜もだったような、その日はおはぎを食べ続ける、そんなだったなあ。

おはぎって、次の日になると硬くなっちゃうのです。それもすっかり忘れてて、次の日の朝食べたら、なんだかごはんのところが硬い、そうか、一日でもうこうなっちゃうんだ、でもなんで?と思って調べてみました。ごはんというのは、水分と熱が加わって柔らかくなる、それをα化と言い、冷えて硬くなるのをβ化というそうです。おはぎは、もち米が多いほど速く硬くなるらしい。(お餅を置いとくとカチカチになるけど、ごはんを置いといてもそんなにはならない)もち米とうるち米を半々ぐらいにして炊くというおうちも結構あるみたい。お米の水分をあんこの砂糖がが吸って、それで表面がしっとりとするのだという話もあり、つまり中のごはんは余計早く水分をとられちゃうみたいです。

今回は、粒あんのおはぎと真ん中にあんを入れごはんで包みきな粉をまぶしたものの2種類を作りましたが、きな粉の方が次の日の朝の硬さがましでした。硬くならないようにするには、ご飯を炊くときにお砂糖を入れるといいそうです。今度やってみましょう。

 

ちなみに、おはぎとぼたもちの違いは判りますか。春はぼたもち、秋はおはぎというという地方もあれば、大きさの違いで、大きいぼてっとしたのをぼたもち、小さいのをおはぎという説もあります。中のお米の状態で、粒が残っているものをおはぎ、完全にお餅状のものをぼたもちというという説もあります。粒あんのものをおはぎ、こしあんのものをぼたもちというところもあるそう、いろいろですね衛生面。私は東京なので、春も秋もおはぎと言っていて、ぼたもちはあまり使いませんでした。

 

お彼岸の中日、3月21日(水・祝)に、お彼岸なのに雪のところもあった寒い日、亀有で水野たかしのライブがありました。

東京のはずれ、こち亀の亀有です。キッドボックスというとっても個性的なお店。すごく狭くて、いろんなものがごちゃごちゃしてて、演者とお客さんは至近距離。ビールは演者の後ろにある縦型冷蔵庫から、曲の合間に出す、というようなところ。お店のホームページによると、全席アリーナソファ席12席となっています。水野たかしは、大震災の直後に、キャンセルになったミュージシャンの代役で行ったのが初めで、それ以来半年に1度のペースでライブを続けています。

この日は、祝日なので早めの設定、18時開始のライブでした。お客様はしっかり聞いて下さる方ばかり、2度の休憩をはさみ、3部構成の力のこもったライブになりました。

水野の歌をこんなに聞いたのは久しぶりでした。この日、どうしても歌いたいと用意していたのは、アレックスにまつわる3曲。追悼会の時に歌った「モリス・フォウン」、彼に捧げる「アレックス」、そして映画カンタ!ティモールのテーマ曲ともいうべき「ヘイ、マルシーラ」。マルシーラは「星降る島」という題名で小向サダムさんや江口晶さんが歌っていたものを、ずーっと上映会で歌ってきましたが、今回、みんながやっていないサビの部分も入れた形で、歌詞も全部変えてしまって、アレックスが歌っていた原曲の意味を踏まえた歌詞をということで作りました。それを、どうしても聞いて欲しいと思っていた方も来てくれて、だから想いを込めることができたのでしょうね、いい感じにできました。この3曲の歌詞を書いたのは私、ドキドキしながら聞いていましたが、私が言うのもなんですが、良かったと思います。

3部は、ちょっと力が抜けて、稲生座にまつわる人たちのカバー曲を歌ったりして、最後は「see   you」これは稲生座のマスター・柴田浩志に捧げた曲です。逝ってしまった人たちが、水野を歌わせてくれていることを実感した夜でした。

 

☆写真は、炎の雫にも来てくれた南風島渉さんが撮ってくれたものです。あんまりいい表情なので、思わず、遺影にしたいような写真だねと言ってしまいました。ギターを、そして歌っている今を慈しんでいるようです。さすがプロですね。すごく素敵な写真なので、ここに載せちゃいました。

 

いい気分で電車に乗り、蘇我で外房線に乗り継ぐと、外房線は人身事故で運転を見合わせていますとのこと、えーーーどうするの、どうしようもないよね、というわけで、電車の中で1時間半、0時22分に太東駅に着くはずが、うちに着いたのはもう1時40分を回っていました。いいことの後には悪いこともある、採算合わせということでしょうか。ふぅ~。

(3月23日 佳)

 

 

「逃げ遅れる人々」を2年ぶりに見る

2018225日、ドキュメンタリー映画、逃げ遅れる人々の上映会を行いました。外房では2年ぶり2回目の上映会です。今回は、同時上映として、「東日本大震災~宮城・石巻地方沿岸部の記録」という映像を合わせて見ていただきました。こちらは、津波の後の状況を映しだし、住民の方のお話を聞いて、記録したもの。淡々としているけれど、あまりの惨状に声を失うほどの迫力です。ある女性が、「お父さんなら、なんかにつかまって生きてるだろうなと思ったけど、まだ来ない、今も来ない」と言っていて、胸が詰まりました。そんな人が、他にどれだけいるのでしょうか。去年だったか、NHKで今も行方不明の娘さんを探し続けて海に入っているお父さんのことをやっていたけど、そんなニュースもめったに耳にしなくなりました。

30分ほどのDVDを見てから、「逃げ遅れる人々」を上映しました。

 

2年前の上映会の時のブログにも書きましたが、私がこの映画に出会ったのは、2013年の秋。当時勤めていた児童館の先輩が、映画の上映会と監督のトークを企画し、そこに参加しました。監督は、、映像グループ「ローポジション」の飯田基晴さん 。ローポジションという名前には、低い視点から弱い人たちに寄り添うという思いが込められています。そういう方なので、「若いときから、障害のある人たちにもいろいろかかわってきた、なのに、震災の時、彼らのことなど思い出しもしなかった。そういえば障害のある人たちはどうしていたのだろうと思ったのは、ずいぶん経ってからでした。」と話されました。

被災した障害者のためにまず動いたのは、障害を持つ人たち、つまり当事者支援。障害者の視点で、生きるために必要なもの、なくてはならないものをピックアップし、それを持ってすぐに出発したそうです。

避難所や仮設住宅に入った人、また周りに迷惑をかけるからと避難をあきらめた人、原発事故のために避難区域に取り残された人、行き場を求めてさまよう人、…飯田さんは丁寧に話を聞き、映像に記録しています。

とても重い映画だと思います。この映画の持つ重さは、そのまま人が生きていくことの困難さを表し、同時に生きていくことの重さ、尊さを訴えかけてきます。

 

映画を見て、あの日のことを思い出しました。

2011311日、私は、東京の中野特別支援学校にいました。当時の仕事は、障害児の放課後支援のNPO で、お迎え前の打ち合わせ中に大きな揺れがありました。建物の外に出ると、大きな木がみしみし音を立てて揺れていてびっくりしました。一旦揺れが収まって、知的障害の高校生の子どもたちを学校に迎えに行きました。そこでまた大きな揺れが来て、その場にいた全員が学校の体育館に避難。そのままそこで4時間ほど待機、保護者の方に連絡がつくまで待ってくださいと言われて、体育館で障害のある子供たちと過ごしました。携帯もつながらず、事務所に連絡も取れず、状況もよくわからず、でも意外と落ち着いていられました。

映画の中で、福島で、自らも障害を持ち、車いす生活をしながら障害者施設を運営している女性が「うちは妊婦さんのヘルパーがいて、その人たちをまず逃がさなくっちゃと考えた」と言っていましたが、私も同じようなことを考えました。当時スタッフ責任者だった私は、保育園に子供を預けているスタッフをまず帰さなくっちゃと考えて、事務所への伝言を託して出しました。忘れていたそんなことをを思い出しました。

不思議だったのは、知的障害の子供たちが静かに待っていられたこと。4時間もの間待たされ、たくさんの障害児がいて、パニックを起こしたり大変なことになるだろうと覚悟しましたが、そんなことは全然ありませんでした。彼らは、どうしようもないことを感じ取り、待つしかないことを直感的に理解したのでしょう。お迎えに来たご家族に連れられて帰っていくときも、騒いでいる子はほぼいませんでした。結局連絡がつかなくて、学校で一夜を明かした子供もいたと後から聞きました。

 

自宅は区営住宅だったのですが、その3階に住むおばあさんは、地震の揺れでガスの安全装置が働いて止まったのを、地震のせいで止まってしまったのだと勘違いして、一週間もの間、ガスなしで過ごしたそうです。そんなこともなぜか思い出しました。情報が分からないゆえの問題。視覚障害のご夫婦が、「情報が分からなくて支援物資はほとんどいただいていない」と語っていたけど、あの時、障害のある人たちはさぞかし大変だったと思います。

 

あれから7年がたとうとしています。東北の復興はあまり進んでいないようです。復興しつつあるところと、遅々として進まないところの二極化が起こっています。大船渡には大手のスーパーができたけど、陸前高田からは撤退したとか、そんな話も聞こえてきます。売り上げが上がるとか上がらないとかより以前に、そこに住んでいる人の生活が成り立つようにしようという視点はないのでしょうか?

原発の問題も然り、避難指示はかなりのところで解除されているけれど、それは安全を意味しているわけではない、それなのに帰還していいのか、釈然としない思いが残ります。家に帰りたいと言っていた障害を持つ人々が家に帰れたとしたら、嬉しいかもしれない、けれど、健康面への影響はないのだろうかと考えてしまうと複雑な思いです。

私は、前回、妊婦さんを逃がさなくっちゃと言った車いすの女性が、原発の問題に直面して「私たちは何もしてこなかったんだ」とつぶやく場面に胸を打たれたと書きましたが、その言葉は今、そのまま、自分へ返ってきています。この2年間、(7年間とも言えます)何にもしてこなかったんだと。彼女は、原発の問題は無関心でいた私たちが生み出してきたとも言っています。原発事故のその後に、どれだけの関心を払っているか、たとえニュースに取り上げられることは少なくなっても、知ろうとする姿勢を持ち続けているのか、改めて問われていると感じました。

 

2年前、私はブログに「あれから自分達は何を考え、何をしてきたのか、反省と自戒を込めて、改めてこの映画に向き合おうと思います。」と書きました。この映画を2年ぶりに見た今、何もしてこなかった自分が、この先何をなすべきなのか、何ができるのか、真剣に考えたいと思います。

(2018年2月26日 佳)

 

 

 

 

 

 

えっ?千葉で雪掻き?

2018121日、午前中から降っていた雨が、夕方に雪に変わりました。

わぁ~雪になった!庭を照らすライトの光の中を舞う雪は、幻想的な美しさです。でも、この辺りでは、雪は降っても積もらないと言われていたので、すぐ融けちゃうんだろうな、と思っていました。ところが、夜になっても雪は降り続き、庭が白くなってくる。それでも、そのうち雨になって融けちゃうんだろうと思っていました。

 

翌朝、一面の雪景色にびっくりです。ここはどこ?って感じです。東京は20㎝を超える大雪、千葉でも積雪8センチだそう。この辺ではまずないという雪景色の中を、ちょっと歩いてみようと思ったら、門が凍り付いて開かない!無理やりずらして外に出ると、入り口のスロープは凍っちゃってて滑ります。そしてまっ白です。ソテツの木に雪が積もってるなんて、珍しい光景が。これは結構な雪ですね。

 

東京にいたときは、それなりに毎年雪掻きをしました。杉並区は東京でも多摩に近い方なので、けっこう雪が積もります。仕事場の児童館では、子供たちが出入りするから入り口の雪掻きをとスタッフが交代で雪掻き。雪が降ってると、どんどん積もっていくので、後ろを振り返ると、やったかいがない状態になってたっけ。うちのアパートの前は、日が当たらないし、車も通らないので、いつまでも雪が残っちゃうから、ちょっと積もるとすぐ雪掻きしました。

そういえば、今の家の玄関は北側で、融けないと大変、雪掻きしようかな。というわけで、雪掻きを始めました。千葉の雪は東京の雪と比べて硬いみたい。雪と氷の間くらい。とんがったシャベルでガンガンやってから、軽くて平たい雪掻きシャベルで押していきます。

 

東京は4年ぶりの大雪だとのこと、雪掻きをしながら、4年前を思い出しました。その日、私はお台場に居ました。当時関わっていた、東北福祉大学通信教育部のスクーリングのお手伝いで、ゆりかもめの駅から近い会場でしたが、雪がどんどん降り積もり、スクーリングが終わるころには、ゆりかもめは止まってました。

(ゆりかもめは無人運転なのですぐ止まります。家の夫は乗車中に運転中止になって、次の駅まで線路を歩いたことがあります。)

仕方がないので、りんかい線の駅まで歩くことにしました。仙台から来た先生と一緒に歩いたのですが、どっちを見てもまっ白で、どこにいるのかわからない、誰も歩いてない、おまけに吹雪みたいな雪が降り続く。立体交差になってる歩道橋の上で、どっちに降りたらいいのか分からなくて、遭難しそうになりました。先生は、仙台よりすごい雪だねと言っていました。

 

そんなことを思い出しながら、雪掻きをしました。玄関のところだけなので、小一時間で終わりましたが、まさか千葉に来て雪掻きをするとは思いませんでした。雪掻きシャベル、捨てなくてよかった。作業の後、暖かい部屋で飲むカフェオレは、格別の美味しさでした。

 

さて、そんなこんなで、2018年も始まりました。

今年もよろしくお願いします。

 

個人的には、今年は映画の年かなと思っています。

昨年末に見た「ブレードランナー2049」あまりにも美しくて魅了されました。

さらに、年明けに「スターウォーズ・最後のジェダイ」を見て、さすがの迫力に圧倒されました。

「カンタ!ティモール」の上映会も続けます。

2月には、2年ぶりに「逃げ遅れる人々」の上映会を予定しています。東日本大震災から7年、改めて見たいと思って企画したものです。興味のある方は、ぜひご覧になってください。佳(2018124日)

 

☆このブログを書き終わった今、ル=グウィンの死を知りました。

アーシュラ・K・ル=グウィン、「ゲド戦記」の作者、大好きな作家です。このお正月は、彼女の、西のはての年代記3部作「ギフト」「ヴォイス」「パワー」を読み返したところでした。ゲド戦記も大好きだけど、その38年後に書かれた新たな物語もいいです。

88歳での安らかな死だったようです。ご冥福をお祈りします。

 

 

 

 

アレックスの死と彼が残してくれたもの

 

119日、映画「カンタ!ティモール」のアレックスがなくなりました。

心臓発作だったようです。

 

「カンタ!ティモール」が作られるそもそものきっかけになったアレックス。

子どもたちに囲まれて、ギターを弾きながら歌っていたアレックス。笑顔が素敵なアレックス。41歳でした。

 

 1210日、新宿で行われたアレックスの追悼の会に参加しました。広田奈津子監督や南風島渉さんのお話、小向サダムさんの歌、東ティモールからの留学生の歌、その中で、水野たかしもアレックスの歌「モリス・フォウン」に日本語の歌詞をつけて歌わせてもらいました。

 

 そもそもの発端は、1029日の炎の雫での上映会でした。台風の中をトークのために来てくれた南風島さんと話していて、アレックスの曲でモリス・フォウンが一番好きだと話しました。いつか日本語にして歌えたらいいねと水野と二人で話していると、南風島さんもあの曲いいなあ、ぜひやってくださいと言っていました。アレックスが亡くなったと連絡がきたのが10日、翌11日は、炎の雫で網野まことさんと水野のライブを予定していました。年に数回しかやってないライブが、たまたまあるなんて、偶然とは思えません。この日は、事情を話して網野さんに先に歌ってもらい、水野はアレックスに捧げるつもりで歌いました。私が言うのもなんですが、魂のこもった歌声だったと思います。

 

さらに偶然にも1122日に高円寺の稲生座でのライブの予定もありました。こちらも1年ぶり。。そこに南風島さんが来てくれて、1210日にアレックスの歌を歌ってくれないかと提案がありました。もはや偶然というにはでき過ぎ、必然でしょうか 。10日までには無理だと思いますと一旦はお断りしたものの、千葉へ帰って話し合ってみました。水野は、曲自体は簡単だと言い、まんざらではない様子。ならば考えてみるねと、歌詞を考え始めました。サントラ・カンタソングスの訳詞からなるべく離れないように、でも私たちの思いも少しは入れて…初めの部分はすぐできて、でもサビが…明日にしようっと、と寝ました。次の朝、何故かスラっとサビもできました。広田監督と小向さん、南風島さんにメールで歌詞を送り、水野は歌いこなすための練習に入りました。

 

 何とか間に合って、10日の追悼の会では、無事に歌うことができました。水野に言われて、私は傍らで手話を付けました。もともと、上映会の時、星降る島に手話を付けて歌っていたのです。(これは江口晶さんが、上映会の時、星降る島で奥様がフラを踊ることに端を発しています。フラは無理だけど手話ならできるとやっていました)すると、終わった後に、何人もの方が声をかけてくれました。私もあの歌が一番好きという人が多いのに驚きました。日本語で歌ったことも、手話があったことも、とても良かったといってもらって嬉しかったです。アレックスの歌が繋げてくれたんだ、歌はアレックスが残してくれた贈り物なんだと実感しました。

 

 モリス・フォウンの歌詞を考えながら、アレックスに捧げる歌を作りたいと思っていました。頭のどこかでずーっと考えていました。最初に浮かんだのは「戦う術は歌だった」というフレーズ。歌詞の断片はいくつかありましたが、なかなかつながらない。かつて、16歳で亡くなった男の子のために書いた歌があるのですが、それも言葉のかけらばかりがあってつながっていかなくて、しばらく時間がかかりました。その時は、ある人に「大丈夫、まとまるときはまとまるよ」と言われたのを支えに抱えていました。今回もそうなるかな、時間がかかるかなと思ったのですが、モリス・フォウンができて数日後に、原形が出来上がりました。アレックスが背中を押してしてくれたように感じています。カンタティモールで見たアレックスの生き方を歌にしたつもりです。

 

 追悼の会が終わって千葉へ帰り、夫に、アレックスに捧げる歌を書いたの、そのうち歌にしてね、と歌詞を見せました。詩を渡してもなかなか歌にならないのはいつものこと、数か月も、時には数年もかかることもある、曲を作るのに時間がかかる人なのです。ところが、その場でギターを弾いて歌いだしました。驚くべきことです!!こんなことは前代未聞!

そして、半日で、歌はほぼ出来上がりました。アレックスの魂が降りて来て、歌を作らせているのじゃないかと思いました。私の頭の中に浮かんだ言葉が勝手につながっていって詞になり、それがギターのコードに乗って歌になる、それもこんな短い間に、これは私達へのアレックスからの贈り物、そう思わざるをえません。

 

 この1か月、私の頭の中のどこかに、いつもアレックスがいるみたいでした。

 

アレックスが2014年のカンタフェスタに寄せたメッセージに、亡くなった人たちの想いがきっと寄り添ってくれるから大丈夫、とあったけど、まさにアレックスが寄り添ってくれているようです。

 

亡くなった人の力を借りて、彼らのの想いも抱えながら、私たちは生きていきましょう。

 

 

♪ 日は昇り日は沈む 美しい島にまた朝が来る 

 

ティモール島は美しい島だけど、日本だって美しい島です。

 

これは、昨日の朝のいすみの光景。

朝焼けに月が浮かんでいます。

 

なんとなく、星降るの島の一説を思い浮かべました。「祈りの歌 月と出会う」

 

日は昇り日は沈む あなたは帰る 豊かな大地へ

 

 

ありがとう アレックス    (12月15日 佳)

 

「カンタ!ティモール」上映会&南風島渉さんのトーク

10月29日、台風の接近の中、上映会を行いました。一時は中止も考えましたが、お客様も来てくださり、トークを予定していた南風島さんは、バイクをあきらめて、電車で来てくださって、興味深いお話を聞くことができました。以下に、その内容を記します。

 

南風島さんと東ティモールとの関わり

1993年、通信社に勤めていた時、休暇で行ったのが始まり。当時、あまり知られていなかった東ティモールで、あわよくばスクープをものにしてやろうという下心があった。ところが、周りは監視だらけでちっとも取材できない。やっぱり自分のような若造には無理だったと思ったが、現地の地下活動家の若者たちと接触でき、今度いつ来るのかと熱い視線を向けられて、じゃもう一度来ると約束してしまい、それ以来の関わり。何度か通ううちに、休暇を利用してでは到底思うような取材はできないと思い、通信社を退職して、取材を続けた。

 

「カンタ!ティモール」との関わり

2002年の独立記念のお祝いの時、初めて、この映画の監督・広田奈津子さんと出会った。彼女は、独立記念のお祝いに、ぜひ日本のバンドを参加させたいと、外務省や国連関係機関に掛け合って、ソウルフラワー・モノノケサミットというバンドを連れて行った(この映画のエンドロールはソウルフラワー・ユニオンの「星降る島」)。その後何年かして、映画を作りたいと連絡があった。君たちが感動した音楽や自然を縦糸にし、東ティモールの歴史を横糸にしたらどうかとアドバイス。8年かけて、何度もやり取りして、映画は出来上がった。彼女の粘り強さには驚嘆した。一旦映画館での公開がほぼ決まった後に、広田さんから電話があった。自主上映にしたいという話だった。大金を投じて宣伝することへの疑念を語り、もっと人と人が繋がっていくような形での上映にしたいと訴えた。「映画とともに日本全国をドサ回りすることも辞さない」という決意に熱いものを感じ、それ以来彼女をサポートしている。

自主上映での公開直前に、東日本大震災があった。震災によって、人々の価値観が揺らぎ、「カンタ!ティモール」に描かれている世界が注目を集め、これほど多くの人が見てくれるることになったとも言える。公開までに何年もかかったが、時期を待っていたかのようでもある。

 

ティモールのゲリラと人々

町中のすぐ近くにゲリラのキャンプがあったりする。一般の、ごく普通の人たちが、ゲリラを支えている。食べ物を持ってきてくれたり、情報を持ってきてくれたり。例えば、小学生ぐらいの男の子が、パンツのゴムを通す穴の中にメモを丸めて入れてきたり。南風島さんがゲリラキャンプに居るとき、コーヒーが好きだと聞くと、毎朝ポットにコーヒーを入れてきてくれて、夕方ポットを取りに来るということもあった。

 

ティモールの人は、憎しみや怒りはないという、それは本当?

怒りはないと言いつつも、怒りを感じなかったわけじゃない。怒りの感情をコントロールする術を知っている、あるいは、怒りはないと自分に言い聞かせているのかな。怒りを持ち続けることがもたらすもの、自分や周りへの影響、それが望ましくない未来へつながっていくことを、彼らは本能的に理解している。独立はより良い未来につながるものであり、より良い未来を子供たちに手渡すために、怒りや憎しみといった負の連鎖を断ち切るために、必死で闘っているのだと思う。聖人でも仙人でもない普通の人々が、より良い未来のために努力している姿こそが、尊く美しいのではないか、翻って私たちはどうすればそこに行けるのか、そんなことを考えさせられるから、カンタ!ティモールは多くの人の共感を得ているのではないかと思う。

 

宗教とルリック

東ティモールでは、90%がカトリック。教会にも通う敬虔なクリスチャンである。ティモールの教会は、バチカン直轄なので、当初教会は攻撃されないと考えられ、多くの人がカトリックに改宗した。(後に教会も攻撃を受けることとなるが…)その一方、アニミズム的な傾向は根強く、ルリック信仰がある。紛争当時、人々はルリックの力を必要とし、シャーマン(ルリックの守り人)にお守りのようなものを授けてもらって身に着けていた。中身は、木の皮とか石ころとか、自然のものらしい。でも持っていると言うと効力がなくなると考えられていて、「ルリックはみんな持ってるよ、俺はたまたま持っていないけどね」と誰もが言う。独立して、ほとんどの人がルリックをシャーマンに返したと聞いている。

 

ティモールの今

首都ディリは発展している。ショッピングモールもできた。一方、都市部以外では、昔ながらの自給自足に近い生活、現金収入はあまりない。所得格差が広がっている。独立闘争に参加した人たちは、、活動していたことが証明できれば、かなりの額の年金が貰える。そのため、放棄された農地が増えてしまった。農業や漁業以外に産業と呼べるものはなく、就労機会は圧倒的に不足している。映画にも登場するジョピト神父は昔ながらのやり方を続けることを呼びかけ、機械を導入して近代的な農業を発展させようという動きを止めた。

 

最後に

東ティモールは、油田から得られる収入に頼っているが、その資源は数十年で枯渇すると言われている。その他の産業と言ったら、コーヒーぐらい。そんな状況だ。

「カンタ!ティモール」は、東ティモールの一番美しい時を切り取った映画だと感じている。

 

この後、打ち上げで、更にいろいろなお話を聞くことができました。その内容について、またの機会に。

 

また、私が初めてこの映画を見た時に書いたブログをくっつけておきます。興味のある方は読んでください。

 

3年半前、ブログは「ぜひ見てください!」で締めくくられています。そして、今でもそう思います。カンタ!ティモール、ぜひ見てください!!

 (2017年11月1日 佳  上映会は随時開催します。ご連絡ください。 )

 

 

2014年のブログ

「カンタ!ティモール」

 

東ティモールのことなんて、ほとんど何も知らなかった、この映画を見るまでは。

 

東ティモールってどこ?何かで耳にしたことがあるような、ニュースだったかしら、それとも旅番組だったかしら、そんな程度。のどかな南の楽園?とんでもない!

 

この映画を見て、私はその苦難の歴史と、それに対して長い戦いを闘い抜いたやさしく雄々しい人々のことを初めて知った。そしてそんな自分を深く恥じた。

 

「カンタ!ティモール」は、ある日本人女性がティモールで耳にした歌から始まる旅である。それは若くして独立運動に身を投じた若者が歌う歌。その歌をたずねながら、それは同時に東ティモールの苦しく悲しい歴史をたどる旅となっていく。

 

1975年インドネシアの侵攻によってポルトガル領だった東ティモールは制圧された。国連はそれを占領とみなし非難したが、日本もアメリカ・ヨーロッパも、インドネシアとの関係を重視し、黙認。ティモールの人たちは独立を掲げてインドネシア軍と激しい闘いを長い年月に亘って続づけることになる。その中で、20万人もの人が虐殺されたというサンタクルス事件があり、国連の監督下で行われた住民投票で独立が決まった後のインドネシア軍による破壊と殺戮があり、多くの命が失われていく。

 

この映画に出てくる人たちは、みな家族や友人を、大切な人を失いながら生き延びてきた人たちである。

けれど、彼らは言う、「悲しいけれど、怒っていない」と。彼らは、悲しんでも人を憎まないことを選んだ人々。なんとやさしく、なんと強いのだろう。彼らは軍の兵士を捕えても、決して傷つけず、ただひたすら話をして帰したという、それが長い戦いの間に、密かにティモール独立の支持者を広げることにつながっていった。そんな戦い方を知って、私は強い衝撃を受けた。そして映画の中に出てくる日本、彼らの「日本には何も望んでいない。ただインドネシア軍を支援するのはやめてくれ」という言葉、ODAの名目のもとに殺戮を繰り返す軍の援助をしている現実、まったく知らずにいた私は、本当に恥ずかしいと思った。

 

そんな現実の中だが、ティモールには人々の笑顔があふれている。リックと呼ばれる精霊がここかしこに現れ、人々とともにあり、時には導く。誰もがその聖性を信じ、大切にしている。美しい緑の大地には歌声が響く。ギターを持った若者を取り囲み歌う子供たち。子供たちの瞳のなんと美しいことか。その目、その笑顔は、まっすぐに希望へと続いている。いつしか思いは、わが日本へ向かう。かつてはこの日本にもあったはずのもの、さて今はどこへ行ってしまったのか、取り戻せるだろうか、まだ間に合うかもしれない。ティモールの人々には、そんな微かな望みすら抱かせてくれる力があり、この映画にはそのためのヒントがたくさん詰まっている。

 

「カンタ!ティモール」を見て、ある人が言った、元気の出る映画だよ。

「カンタ!ティモール」 勇気をもらえる映画だと、私は思う。 ぜひ見てください!!(2014年4月20日)

 

 

この秋、植物の不思議

暑くなったり寒くなったり、半袖?長袖?、お昼はそうめん?それともあったかいお蕎麦にする?なんて、目まぐるしく変わるお天気に振り回されています。でも、振り回されているのは人間ばかりではないようです。

 

2度目のアジサイの花が咲いています。一度咲いて、枯れて、お化けのようになった花も葉っぱも切りました。なのに、なんだかまた葉っぱが増えてきたみたいと思っていたら、その陰に色のない花が…ほんとは花じゃなくて顎だそうですが…そのうち色がだんだん赤くなってきて、濃いピンク色になりました。一度目の花は、青紫っぽかったので、色も全然違います。梅雨ならぬ秋の長雨に濡れて、一段と色鮮やかになっています。不思議です。

 

ミニトマトは、いまだに花が咲いています。さすがに実はあまりつかなくなって、実がなってもとっても小さい。でも甘い。もともと、甘くておいしい種類で、もう何か月も採れ続けています。茎の下の方は黄色く枯れているのに、上の方は緑で元気な葉っぱと黄色い花が咲いてるなんて、不思議です。

 

さて、枝豆の季節は夏ですよね、もうとっくに終わりと思っていたら、先週、近くの畑のおじいさんのところに枝豆がありました。え~こんな時期に、と思いながら、袋いっぱいに詰め込まれた、市販の量の3~4倍はあろうかという枝豆を200円で買ってきました。もう3回食べたけど、まだあります。やっぱり、ぺったんこで実が育っていないものも混じっているけど、ぷっくりしているのはおいしい!実は、今年、おじいさんの枝豆を楽しみにしていたら、「今年はダメだぁ」ということで、ほとんど食べられなかったので、こんな時期に枝豆が食べられてうれしいです。でも、去年も一昨年も、10月に枝豆はなかったと思うので、不思議です。

 

不思議と言えば、オクラ。けっこう大きめで白っぽい地味な花が咲いて、その後、茎から生えるみたいに上向いてなるんですね。知ってる人には全然不思議じゃないと思うけど、私には不思議な光景でした。

 

去年はまったく実がならなかった柿ですが、今年は1本の木だけ、たくさん実がなりました。一昨年は3本とも実がなって、そのうちの甘いけど渋い柿を食べちゃったりしたのだけれど。まず、3本のうち1本しか実がならないのが不思議。一年置きというけど、他の2本はどうなってるの?そして、モット不思議なのは、種無しになっていること。一昨年は完全に種があったのに、今年の柿は、まったく種がありません。剥いて切って干す、スライス干し柿を作ったのですが、なん十個かやって、種は2つだったかな。勝手に種なしになるなんて、あり? 不思議です。

 

それから、松の紅葉。玄関先の松の木の葉っぱの先が茶色くなって、なんだか紅葉してるみたいできれい。なんて言ってたら、実はこれ、松くい虫にやられたみたい。専門家に相談したら、伐採したほうがいいかもと言われてしまいました。聞けば、九十九里一帯で被害が出ているとか。のんきなこと言ってる場合じゃなかった、対処しなくちゃ。

 

都会に暮らしていると、夏は夏、秋は秋、そんなふうにしか思わないけど、今年と去年とこんなに違うなんて、初めて気が付きました。当たり前だけど、同じ時なんて、二度とないのですね。

 

告知です。

 

10月29日の日曜日、「カンタ!ティモール」の上映会をやります。午後130上映開始。今回は、映画にも登場する南風島渉さんが来てくださって、上映後にお話を聞くことができます。南風島さんは、独立闘争時代のティモールで、ゲリラのキャンプを取材したりし、ティモールの歴史を見てきた方、めったに聞けないお話が聞けると思います。どうぞご参加ください。(10月16日 佳)

上総十二社祭り

昨日9月13日はここら辺のお祭りでした。

ちょうど店の定休日だったので、3度目の9月にして、初めてのお祭り体験。

 

上総十二社祭りは、千二百年の歴史のある由緒正しいお祭り。房総最古の浜降り神事と呼ばれているそう。玉崎神社の祭神玉依姫の命の一族が房総半島に上陸したゆかりの地・釣ケ崎海岸で再開す露ことに始まったとされています。一ノ宮、いすみ、睦沢、茂原、長生から神輿が集まります。ここらの神社はたまさき神社だらけです。(玉崎と、玉前の漢字の違いはありますが)

 

前日の荒れた天気と打って変わって、ものすごーくいいお天気で暑い!

ちょっと早めに行くと、海岸に入っていく道沿いにで店が並んでいます。たこ焼き、から揚げ、焼きそば、ぽてと、綿あめにかき氷。定番ですね。まだ人はそんなに多くない。自転車を止めて、苺氷というかき氷とたこ焼きを買いました。苺氷は、氷と一緒に凍ったイチゴを砕いて甘いミルクをかけたもの、いちごみるくという飴がありますが、その味。おいいし~い。さすが一ノ宮。

 

 

しばらくすると、海岸を白装束の子供たちが三々五々にやってくる。走ったり、途中で記念撮影したり。カメラを持った人がやたら多い。そのうち、一ノ宮方面から海岸沿いをお神輿がやってくる。反対側、太東海岸の方からもお神輿が、これがうちの地区の方からのお神輿かな。お神輿は、海岸に着くと鳥居をくぐって一旦上に上がり、また降りて来て波打ち際へ、ちょっと海に入ったみたい。

 

お神輿がまた上がっていった後も、みんなが一ノ宮方面を見ている、なんでかなと思っていたら、馬が海岸を駆けてきた。先頭の馬は誰も乗せず、若者が付いて走っている。黒い馬、わぁきれい!続いて子供をのせた馬、男の子、女の子、それから白装束の男の人、神職?それともお公家さん?、最後は武士の装束をまとった男性。馬は全部で7頭、黒、白、茶、グレー、波打ち際を駆ける馬、素敵でした!!

 

上の神輿だまりでは、お神輿の一斉差し上げ。なかなか勇壮です。その後、ずらりと並んだお神輿の下を人々が列を作ってくぐり抜ける、へぇ、こんなことやるんだ。最後は、お神輿が一基ずつ、鳥居をくぐって走り抜ける。お神輿は男の人しか担げないけど、このときはお神輿に付けた紐をもって、女子供も走っていく。

鳥居を抜けた後はまた戻ってきて、休憩、出店で買って飲んだり食べたりしてました。なるほど、出店にとってのお客さんは、見に来た人じゃなくて参加してる人なのね。

 

なかなか面白かったです。ただ、行事と行事の間がなんとなくズリズリしてる 、もうちょっとバッシッと決まっている感じがあるともっと良いのだけれど。見せるためのお祭りじゃないんだなあと思いました。

 

ちなみに、うちの集落・椎木の玉前神社のお神輿は、釣ケ崎海岸から椎木宿を経て、太東の駅前に午後7時半過ぎに到着。そこでちょっと休憩して、玉前神社に戻ったのはたぶん9時ころ。終了を知らせる音花火がなってました。あれって、どこで誰が打ち上げてるのかな。お神輿の人たちには、長い一日だったことでしょう、でもそれが楽しいのでしょうね。

 

 

このお祭りでは、海にはほとんど入ってないけど、大原のはだか祭りには「汐ふみ」という神事があって、もっと派手に海に入るらしい。見たいなあと思いつつ、今年は9月23日、営業日なので無理。来年行けたら行きましょう。(9月14日 佳)

 

 

夏のアルバム2017

 

 

今年はカエルの姿をなかなか見ないと思ったら、6月の終わりにやっと見かけるようになった。でも、とっても小さい。豆粒みたいな、2か月たった今でも、体長34センチ、それに手足に色がついていて赤っぽい。去年のカエルと種類が違うのかしら。

ミニトマト

 

今年はお店の入り口の脇、細長い看板の裏側にミニトマトを植えました。7月はこれがどんどん取れて、しかもおいしい!甘い!!みんながびっくりするくらい甘い、これはシュガープラムという品種。去年コメリのお姉さんが、これおいしいですと教えてくれたもの、去年よりずっと豊作。

今でもまだ獲れてます。(この写真は今の写真なので、ちょっとしかなってないけど、最盛期はたくさんなってました)

 

 

野菜

 

今年はピーマンもよく育ち、けっこう大きくなって、鳥よけの網を突き破って出てきたので、網から外して、実もどんどんできたので、結構食べたけど、とっても暑いころ突然枯れちゃった。なすは、ポツンポツンと獲れてます。今年はキュウリがいまいち。たまにしか獲れない。なぜかしら?

 

 

水出しコーヒー

 

夏だから、アイスコーヒー用のパックを作ろうと試作してみました。水出しコーヒーのパック。水に入れて冷蔵庫で一晩寝かせるだけでおいしいアイスコーヒーができます。もちろんそれをあっためて飲むこともできます、なんてそんなめんどくさいことはしないか。でも水出しには水出しの味があって、すっきりしてて、それが好きな人もいる。

東ティモールコーヒーの深煎りをメインにしたブレンドです。

35グラム入りで180円。3つで500円。3つ買うと、豆100グラム買うよりちょっとお得。

 

 

おじいさんの枝豆

 

 

今年は枝豆の季節がなかなか来ない。去年は畑のおじいさんのところで何度も枝豆を買ったのに。やっと枝豆が出たと思ったら、今年は枝豆はダメだぁとおじいさん。確かに去年みたいな粒ぞろいで立派な枝豆じゃない。でもおいしかったよ。

スイカ

 

 

枝豆と一緒に買ってきたのが、小さなスイカ。皮が薄くておいしいよとおじいさん。食べてみたら、ホントにおいしい!!庭に出て種を地面に捨てながらスイカにかぶりつく。夏だな~。

壁絵

 

家の玄関とお店の入り口にしている庭の方の間に、白い壁がある。なんとなく汚くなってるし、そこに何か描こうかなと前から思っていた。夏とは思えない妙に涼しい日、それを実行に移すことに。2年前、引っ越してきた年の夏はお店のペンキ塗りをしてた。その後、物置スタジオができて、壁に絵を描いた。それ以来だ。大きな木の絵を描くことにした。葉っぱと木だけのシンプルなデザイン。何か楽しい。通りがかった近くのお寿司屋さんに「奥さんが絵を描くんだ」と言われ、なんとなく恥ずかしい。

壁絵2

 

外壁にペンキで絵を描いたら楽しかったので、他にないかなと探して、玄関のドアの横を見つけた。ここにも描こうっと。

実は絵を描く前に、壁のおそうじが必要。これが結構大変。

水かけて、ごしごしこすって、こっちはあまりにも汚くなっていたので、一度アイボリーで塗って、やっと描くに至る。涼しい日が続いて、作業ができた。くるんくるんと線を描く。

植物のようにも昆虫のようにも見える。

壁絵3

 

 玄関が終ると、物置の横の母屋の壁、ここも汚くなってるから、かなりごしごしやって下塗り。なぜか夫も下塗りに参戦。次の日朝から、くるんくるん。こちらは、植物のようにも音符のようにも見える。別に違和感ないと思うのは私だけ?それにしても、こんなに涼しい日が多くていいのかな。

海の家と花火

 

7月中旬、太東海岸に海の家がオープン。太東の海水浴場は、きれいで、混みすぎてもいなくて、でもそこそこ人がいていい感じです。海の家は3軒。昔ながらのいい風情。海の家と言ったらかき氷。抹茶のかき氷とフランクフルトとポテトフライを食べてきました。

 

花火

8月12日岬ぼんぼんフェスタというのがあって、その最後に花火を打ち上げる。それがうちの庭からよく見える。20分だけだけど、庭に椅子を出して花火観覧。家に居ながらにして花火大会気分を味わいました。花火ってやっぱりいいなあ。

 

 

模様替え

 

8月の始めに、お店の模様替えをしました。

窓際に4人席を作り、杉のテーブルはレコード棚の前へ、入り口のウッドデッキの横に2人席、真ん中の大きなテーブルの向きを90度変えて椅子は8つにしまし た。ちょっと雰囲気が変わっていい感じ。窓際の席はとても居心地がいい。風を感じて、ゆったり過ごしてください。

 

 

植物たちは…

 

8月百日紅の花が咲きました。鮮やかなピンクの花。さるすべりっていうけど、実際には猿は難なく上るそうです。

虫よけを兼ねて植えたローズマリーは、相変わらず咲いていて、春ごろ咲き誇っていたカザニアも、ぽつぽつ咲き続けています。ソテツの木は、繁りまくって、どうしましょうという感じ。2年前にここに来た時みたいな、緑のお化けと化しています。生命力旺盛なオーシャンブルーはフェンスをいろどってくれています。

田んぼの稲は、だいぶ黄色くなり穂が垂れて来て収穫直前?というところと、まだきれいな緑色のところと、色のコントラストが美しい。お米の刈り取りが始まったところもあるみたいです。

 

そして、カンタティモール

 

「カンタ!ティモール」上映会

ご希望の方があって、今度の土曜日、8月19日の午後1時から上映会をやります。

クーラーのない当店は、真夏の上映会は無理と思っていましたが、高円寺の時に使っていたスクリーンを使って、窓は開けた状態で(遮光カーテンだけ閉めて)なら出来ると気づきました。興味のある方はご連絡ください。

 

また、10月29日(日)に、映画にも登場する、報道ジャーナリストの南風島渉さんをお迎えしての上映会が決定しました。たくさんの方の参加をお待ちしています。 (8月15日 佳)

 

 

 

 

CANTA!TIMOR SONGS

カンタファンの「ぜひ、映画のサウンドトラックを作って!」との熱い思いに応えて、映画のサウンドトラックCD「CANTA!  TIMOR SONGS」が遂に発売されました。

 

2012年に公開されたこの映画は、今でも静かな拡大を続けています。

 

私たちは、この映画に2014年に出会いました。夫の古い友人の江口晶さんがきっかけでした。それから1年間、高円寺の店でマンスリー上映会を開きました。外房に来てからも、上映会を続けています。公開から5年経った今でも、見るたびに新しい発見があり、感動があります。決して古びていくこともなく、飽きることもありません。東ティモールの26年に及ぶ独立闘争に絡むドキュメンタリー映画、と言ってしまうには、あまりにもたくさんのものが詰まっています。人が生きていくうえで大切なことが、そこここに散りばめられた、まるで宝箱のような映画です。

 

 

先月は、東京の田端にある“シネマチュプキ・タバタ”という超ミニシアターで、1か月間のロングラン上映があり、カンタティモールを見て、南風島渉さんのトークを聞くために出かけて行きました。チュプキは、もともと視覚障害者と映画を楽しむ会をやっていたボランティア団体が立ち上げたバリアフリーの映画館。全20席ながら、障害者のみならず、子育て中のママさんなど、どんな人も映画を楽しめるように配慮したユニバーサルシアターです。一般の映画館では見られないようなラインナップを組み、トークショーなどの企画も行っています。

南風島さんのトークがあると知って、彼のお話が聞きたいと即断しました。

南風島渉さんは報道写真家、映画の中にも登場していますし、それ以降、トークをやったり、カンタ!フェスタというお祭りの実行委員長をやったりと、カンタティモールと監督の広田奈津子さんを支え続けています。1993年から7年間の東ティモールを取材し、「いつかロロサエの森で~東ティモール・ゼロからの出発」という本を出版しました。この本は、映画とはちょっと視点が違います。東ティモール独立闘争の地下活動家たちに焦点を当てて、ゲリラに潜入したりして取材したものを綴っていますが、つい引き込まれてどんどん読み進んでしまう、そんな本です。チュプキの若き支配人との対話の形でのトーク、観客との質疑応答、上映終了後の30分間でしたが、内容の濃いトークショーでした。その後、南風島さん、映画館のスタッフ、パルシック(ティモールのコーヒー生産の支援をしているNPOです、炎の雫はパルシックから仕入れています)のスタッフと飲みながらお話することができました。今までの上映会で聞いた話、現在のティモールの状況や登場人物の今、疑問に思っていたことも聞くことができて、かなりの部分解消することができました。とても素敵な夜でした。

 

6月になって、名古屋へ行ってきました。

カンタティモール上映会のきっかけを作ってくれた江口晶さんとの水野たかしのライブ。40年も前に、2人は一緒に活動していました。ライブには小向サダムさんもパーカッションで参加してくれて、楽しいライブになりました。そして、監督の広田奈津子にもお会いできました。「やっとお会いできた」と言ってくださり、のはらくん(奈津子さんとサダムさんの息子さん)をだっこしながらお話しました。私が「上映会やってもなかなか人が集まらなくて…」と言うと、「数じゃないんです」ときっぱり。「カンタティモールを育ててくださってありがとうございます」との暖かい言葉に、勇気をもらって帰ってきました。気持ちを新たに、上映会を続けていこうと思います。

 

できたばかりのサウンドトラックCD

 「CANTA! TIMOR SONGS」 お預かりしてきました。

26曲、2000円です。炎の雫で販売中。郵送もできます。(価格は送料込み)

南風島渉著 「いつかロロサエの森で~東ティモール・ゼロからの出発」 2500円。在庫あります。

 

 

クーラーのない当店では、真夏の上映会はちょっと無理。秋になったら、上映会を企画したいなと思っています。もしかしたら南風島さんのトークも聴けるかも。乞うご期待!!

(624日 佳)

 

 

空豆とキャベツ

今年ほど空豆をいっぱい食べた年はありません。

 

近くの畑のもうすぐ90歳になるおじいさん、この春久しぶりに出会ったのですが、彼の空豆を何度買ったことでしょう。出始めの頃、あまりにもおいしい、それに大きくてほんとにきれい、なのに市価の半額以下、そのころ2キロで500円、思わず東京の息子にも送っちゃいました。夫は空豆が大好物、いくらあってもいいよというので、通る度に買ってきました。何回目かの時、おじいさんが「ここで剥いていってもいいよ、畑の肥やしにするから」というので、その場で剥くことにしました。夫と私が一緒の時で、2人ならすぐでしょと。結局おじいさんも手伝ってくれて、3人で剥きました。何か楽しい。しばらくすると、1袋250円になってる、250円でいいの?と聞くと、「もうちょっと硬くなってるからね、よく煮てください」と。確かに大きいのはちょっと硬いけど、市販のに比べたら全然おいしい。

 

またちょっとして、もうないかなと思いながら行ってみると、おじいさんいる!(ここの場合、彼がいるときしか野菜売っていないのです)近くに行くと、かごの中にちょっと汚くなった空豆、「これで最後だよ」、畑を見るともう空豆は全部抜いてある。ほんとに最後なんだ、1かご100円?100円でいいの?また3人で剥いてきました。剥いたら全然きれいです。

 

 

 

 

 

さて、その時、何気なくキャベツはないの?と聞きました。キャベツ植わっていたし、ちょうちょがひらひら飛んでたので。するとおじいさん「虫がひどくてダメだあ」と言う。「そうなんだ、あるかなと思って」と言うと、「食べられるのはあると思うけど…明日かき回しちゃうつもりだから取ってっていいよ」と包丁を差し出しました。え、私がとるの?前に聞いてみたらおじいさんが採ってくれたことがあるので、ちょっとそれを期待したのですが、意外な展開。「好きなだけ持ってっていいよ」というわけで、キャベツの収穫をすることになりました。畑の中に入っていくと、確かに虫食いはすごい。でもよく見ると、中側は大丈夫そうなのが結構ある。そういうのを選んで、包丁で切って収穫、外側の葉っぱを剥くと、中に虫の糞みたいなのがいっぱいついているけど、それを落とせば大丈夫みたい。私が選んで収穫し、夫が葉っぱをとっておそうじ。やってみると、これも大丈夫そう、あこれも、となって、4つも採っちゃって。夫にもういいんじゃない、食べられないよといわれました。そうか、でも、とっといてもよくない?というと、絶対全部持って行けって言われるに決まっていると。その通りでした。一応、「私たち2つくらいでいいからおいていこうか?」と聞くと、「持ってってください。誰かにあげればいいよ」とおじいさん。「ちょうちょがいっぱい飛んでるね」「ひどいでしょ」。結局、空豆2かご分200円と、紫玉ねぎ大小混ぜて10個100円を買って、キャベツ4個もらって帰りました。玉ねぎもお買い得、ちょっと傷があるけど、悪くなる傷じゃない、お買い得だよとおじいさんに言われると、ついそちらを買ってしまう私です。

後で、「そうか、生産者の人はちょうちょを見て、虫がひどい証拠だと思うんだなあ」と夫がぽつんと言いました。なるほどね、ちょうちょは青虫がキャベツを食べて大きくなるんだった、※はらぺこあおむし※じゃないけど、キャベツが一番のごちそうだったと思い出しました。

 

※ちなみに、今世田谷美術館でエリック・カール展やっています。この前友達と行ってきたところです。

 

この日は、キャベツたっぷりのお好み焼きを作りました。次の日はキャベツ丸ごと1個、芯をくり抜いてそこにひき肉を詰め、スープで煮ました。ついでに玉ねぎもまるごと入れて。どっちもおいしかった!!もちらんゆでた空豆もたっぷり食べました。

さて、あとはキャベツ料理何があるかな、コールスローもいいし、豚バラと炒めてもおいしいし、キャベツのパスタも、ただ塩もみにしても。実は、うちの庭にもキャベツ1個できつつあります。3度目の正直、今までなぜか葉っぱがどんどんなくなって消滅していたのが、ヒヨドリのせいだとわかって、鳥よけの網をかけたら順調に育っています。しばらくキャベツ三昧ですね。

 

収穫体験は梅雨入り前ぎりぎりだったみたいで、昨日梅雨入りの発表がありました。うっとうしい季節ですが、雨には雨の良さがある。気持ちを切り替えて乗り切っていきましょう。

 

 

お休みをいただいて、11日日曜日から、名古屋へ行ってきます。よろしくお願いします。(6月8日 佳)

 

 

のぼり作り

4月から5月にかけて、いろいろ作っています。

その最たるものは、のぼり旗です。

 

そもそも、千葉に来るまでは、のぼりなんてあまり意識しませんでした。ファミレスに立ってるな、くらい。それが、こっちに来たら、お店といえばのぼりです。そうなんだ、看板替わりなんだ、と認識して、1年半前、開店直後にのぼりを立てました。ネットで探して安いのぼりを買って建てたのですが、風が強くて薄いから、ぼろぼろになっちゃって、何度か修理しました。気が付くと、ブラックジャックみたいなきりばりだらけ。新しくしようと思ったのですが、なかなか気にいったのがない。作っちゃおうかなと思い立ちました。

 

第一段階は布を買って縫う。雨にぬれてもすぐ乾く化繊の布にポールに取り付けるテープを縫い付けました。第二段階は、字を書く。「自家焙煎」と「珈琲」または「COFFEE」。これは、ペンキで書きました。意外と面白いです。結構はまって作業しました。よし、できた!と思ったのですが、下に敷いていた紙がくっついちゃって、はがしても後ろから見ると汚い。結局裏側からはアクリル絵具で字をなぞりました。2枚作って、見事完成。5月5日から、新しいのぼり旗立ててます。古いのもあるので入り口に2本、線路側に2本です。

ちょっとは目立つようになったかな。

食べ物の部。

その1、イチゴのコンポート。国道沿いのねぎぼうずという産直で、イチゴが200円、レジに持っていくと、それ2パックで200円よ、1つなら110円と。え、そうなの?じゃ2つと買ってきました。それを煮て、ジャムではなくフルーツソースみたいにしました。昨日の炎の雫のスイーツはそれを使ったタルトでした。自分でいうのもなんですが、これおいしかったです。

 

その2、夏ミカンの皮のお菓子。これは、東京に居たころ、生協の視覚障害者向け朗読ボランティアでいつも作ってきてくれる方がいて、教えてもらったレシピです。夏ミカンが5個で300円だったので、久しぶりに作ってみることにしました。これは手間と時間はかかるけれど、本当に美味しい。皮が立派なお菓子になります。作ってみて下さい。

 

作り方:夏ミカンの外側の皮(オレンジ色のところ)を薄くピーラーで剥く。それから普通に皮を剥いて実を外す。皮を7~8ミリの幅で縦に刻み、3回ぐらいゆでこぼす。1時間くらい冷水につけておいてから、ひたひたの水とお砂糖を入れて煮る。お砂糖は皮の50%~75%を目途にお好みで。水分がほぼなくなるまで煮詰める。焦がさないように。煮あがったものを干す。天日なら2日くらい、オーブンで乾燥させるなら110℃で1時間とあったけど、私はオーブンでやってから、次の日1日干しました。グラニュー糖を振って完成です。熱いうちにグラニュー糖をまぶすという人もいるみたいです。ちなみに溶かしたチョコレートをかけて乾燥させると、高級お菓子になります。

 

その3、野菜編。まずはなんといってもこの時期筍ですよね。今年は筍が取れないらしい、イノシシが食べちゃうのだそうです。でも、ねぎぼうずで見かけたので、しかも値段が安くて思わず買って来ました。即ゆでて、冷蔵庫に水につけて保存。筍ごはん、ひめかわの和え物、煮物、春巻きと作りました。スライスして冷凍にも、これ意外と使い勝手いいですよ。そしてかぶ。これは実をピクルス風に、葉っぱは煮びたし。いっぱい常備採できました。

 

その4、ハーブ。イタリアンパセリが繁ってきちゃったので、ドライにしました。といっても葉っぱをちぎって、クッキングシートにはさんでレンジかけただけですが…。これを冷蔵庫に入れておくと、なぜかいつまでたってもきれいなみどり色です。何かと使えます。

 

他にも、ちょっと大きい手提げ袋が必要になったので、それを縫ったり、いろいろ作ってます。何か作るのって、出来上がったものがそこにあるから、達成感がありますよね。

 

連休も終わって、緑が鮮やかな季節です。この辺りでは、いまだに鶯が鳴いています。

田んぼも田植えがほぼ終わって緑色、蛙も盛んに鳴いています。もうすぐ夏ですね。

(5月10日 佳)

 

けしごむスタンプにはまって、春

春ですね。

 

この春はけしごむスタンプ作りにはまっています。

きっかけは、ティモールコーヒーのドリップバッグを作ろうと思ったこと。

いつもコーヒー用の袋を注文しているところから、ドリップバッグ用のグッズ一式をサンプルで取り寄せました。その中にあったシールがいまいち。そうだ袋にスタンプ押せばいいんだと思いつき、今度はスタンプを検索。自分で書いた絵を写真に撮って送るとスタンプにしてくれるというメールオーダーのスタンプ工房というのを発見。よ~し、これにしようとほぼ思っていました。

ところが、家にず~っと眠っていた「ラクほり~けしごむでスタンプ作り」が、なぜか目につきました。いつ買ったのか定かではなく、たぶんちょっとやってみようかなと生協で買って、机の引き出しに入ったまま忘れて、お引越しで見つかって、それから2年近く経って…それを見つけちゃいました。この際だからやってみよう!と決意。

 

このけしごむの売りは、つまようじで彫れること。トライしてみました。すると…これがおもしろい!!どんどん、さくさく彫れる、ホントにラク。カッターや彫刻刀は要らないし、みるみる削れていく、その感触がたまらない。

最初の作品は「DRIPBAG timor coffee」と二段に彫ったもの。本人は良い出来栄えなんて思ってたら、夫が「なんて書いてあるかわからないよ」と言う。が~~ん!ショック!それでファイトを燃やして、次の日、早朝から再びトライ。細かい字はつぶれちゃうので、今度は「TIMOR COFFEE  DRIPBAG」としました。これがまずまずの成功。でも、そこでは止まらなかった。せっかくだから、「炎の雫」って彫ろう、それができたら、今度は電話番号の入ったもの作ろう、(さすがに住所までは無理です)、その後は、コーヒーカップの絵。もっとなんか彫るものないかな、とコーヒーミルやポット、マキネッタ(エスプレッソもどきを作るやつ)まで彫りました。当然ながら、最初のいくつかで、うちにあったけしごむはなくなり、アマゾンで追加購入。もっと買おうかなと思ってるくらいです。

思い立って、絵を描く。0.9Bのシャーペンでメモ用紙に書き、紙を裏返しにしてけしごむにあててこすれば、トレーシングペーパーなんてなくてもしっかり写ります。それをつまようじで彫っていくだけ。小さいものなら、小一時間で出来上がり。その達成感もいい。楽しいですよ!やってみて!

出来上がったスタンプに、夫が木を張り付けてくれました。これでちゃんとしたスタンプになり、そったり曲がったりしなくなって、しばらく使えそうです。

これでドリップバッグも売り出せます。なんてね。

 

さて、そんな合い間にも、春は着々と。

 

前にお伝えした、悲しい白菜、なんと新たに茎が伸び、花が咲きました!びっくりです。白菜としては食べられなかったけど、花が咲いたと夫がフェイスブックで書いたところ、白菜の花はおいしいですよ、との書き込みが。え?食べられるの?そういえば菜の花みたいだよね、と食べてみることにしました。ちょうどブロッコリーの脇芽もあったので、それと一緒にゆで、ツナとベーコンを入れたパスタにしました。あっさりして美味しい、春を感じる味でした。今年は、白菜としては食べられなかったけど、花が食べられてよかった。

 

春になって、苗がいろいろ出てきたので、今度はコメリで鳥よけのネットを買ってアーチ形にかぶせてみました。さてどうかな、初日に、ネットの中に鳥が入っているのを見つけて、え~~と思ったけど、アーチの下の方に結びつけたりして、今のところは大丈夫そうです。

春と言えば桜ですよね。

実は今週の水曜日に茂原公園に行ってみました。でも、まだ全然。一分咲きか二分咲きといったところ。でも、良いお天気で、ところどころに桜もあって、気持ちよくお散歩できました。池に張り出した木では、亀さんたちが陽なったぼっこ中。池に浮かんだ木の切れ端に上ってドボンと落ちてまた這い上がってを繰り返す、ユーモラスな光景も見られてのどかです。

 

茂原公園の奥に美術館があるのをご存じですか?そこにも立ち寄って。すごく良かったですよ。鳰川(におかわ)誠一とか石井武夫とか、茂原ゆかりの個性的な画家の作品が見られます。

 

最後は、ピースコーヒーでおいしいコーヒーをいただいて帰りました。実は、待ち合わせは(夫は自転車で、私は電車で行きました)珈琲工房だったので、今日2杯目のコーヒーです。どっかに行くと、そこでおいしいコーヒーをというのは定番になっています。さて、今週末は、お花見にはあいにくのお天気になってしまいましたが、明日は晴れそうです。

 

茂原の桜のライトアップは、一週間延長されて16日までになったそう。また行ってみましょうか。(4月9日 佳)

 

 

震災から6年、東北の春はまだ遠い

 

先日、陸前高田の喫茶「ジャズタイム・ジョニー」の再建募金のメールが届いた。

津波で流されて跡形もなくなってしまったジョニー。仮設店舗で運営を続けているが、仮設の期限が近づいている。高台に造成中の土地へ移転の予定、土地は確保したものの、建物の建設費用が足りないという話だった。造成中の土地がいつ出来上がるのかは、今一つ定かではないのに、仮設の期限だけは決まっていく。なんだか切ない話だ。

   (写真は2013年夏の高田の海ー海は今も変わらないだろうか)

 

震災から丸6年。月11日が近づくと、東北の状況を伝える報道が増える。でもそれも年々少なくなっているようだ。6年経ってなお、いまだに仮設住宅に暮らす人々がいる。でも仮設の期限は決まっていて、どこかへ行かなくちゃならない。ほんとは仮設住宅は5年までと決まっているらしい。それが特別に延長されたようだけれど。

陸前高田市では、仮設の撤去スケジュールが出されている。早ければ今年の前半から。29年度・30年度に解体予定のところが約三分の二、31年度まで当面存続が三分の一。31年度までいけば、震災から8年にもなる。仮設で8年!小学校と中学校のほぼ全部を仮設で過ごす生活、考えられるだろうか。

仮設の店舗には、また別の撤去スケジュールがあるようだ。国が解体費用を全額補助するのは5年まで、それ以降延長は可能だが、自治体が撤去費用を負担しなくちゃならないらしい。なんだかおかしい。

 

神戸の震災の時は、5年経ったら街はまったく元通り、いや元あった以上の街が出来上がった。神戸は都会だから、街を復興させる必要があり、またその見返りも期待できた。自治体の体力もあったけど、国も力を入れたのだと思う。でも東北では、全然状況が違う。陸前高田は鉄道すらなくなって、今はBRT(バス高速輸送システム)というバスが走っている。駅(バス停?)は、2013年に仮市庁舎の駐車場にプレハブが建ち、ちゃんとした駅の開業はなんと去年の3月、丸5年もかかっている。このスピードの差は何だろう。東北は、漁村、農村が多く、そこにお金をつぎ込んでも、生まれてくるものは少ないから?人が暮らしているのは同じなのに。割り切れない思いだ。

 

震災から3年目の2013年の夏、私たちは陸前高田を訪れた。きっかけは陸前高田在住の小野文浩さんが「陸前高田・海の写真展」を高円寺のお店でやったこと。彼は、海に太陽が昇る写真を中心に撮っていた。その後彼は、やなぎさんと水野ののライブを企画してくれた。場所は「ジャズタイム・ジョニー」だった。アイスコーヒーを頼むと、グラスにちょこっと入れて、それでいいの?と聞くと、大丈夫、氷を入れてちょうどよくなるの、と店主の由紀子さん。ほんとうかな、飲んでみると本当だった。おいしかった!ライブはいい感じで、その後の打ち上げではたくさんのご馳走。集まってくれた地元の方々はみんな明るかった。その晩は小野さんのお友達の家に泊めていただいた。震災で家もご家族もなくしたという。再建したばかりのログハウス風の家、全然知らなかった人なのに、朝からバーベキューなんかして、力いっぱいもてなしてくれた。今から思えば、誰でもいいから泊まってほしかったのかもしれない。

 

車で陸前高田の街を回った。町と言っても何もない。あっけらかんと何にもなくなっていた。空き地というか、ただただ広がっている大地、ところどころにブルトーザーがいるだけ。「ここは駅前の商店街だったんだよ」と言われてびっくり。駅なんてどこにもないし、お店も1軒もない。言われてみればかろうじて線路が分かるぐらい。夏の陽射しを浴びて、奇妙に明るかった。そんな記憶が、一気に蘇る。

 

東京オリンピックが決まった時、オリンピックなんてやってる場合じゃないでしょ、そのお金を東北の復興に回して欲しいと切に思った。今でもその思いは変わらない。東北の人は忍耐強いから怒ったりはしないけど、私は怒りたい。たまたま縁があって、陸前高田の状況を少し知ったけれど、状況はそれぞれ違うかもしれないし、同じようなことはたくさんあるのだろうと思う。

 

そして6年目の3月11日だ。

去年、炎の雫では、ドキュメンタリー映画「逃げ遅れる人々」の上映会をやった。東北大震災の時、障害を持った人はどうしたのか、避難所に行ったけど居られなくて帰ってきた人、避難所にはいかないという選択をした人、原発の事故で行き場がなくなり流離う人‥それぞれの重さが描かれている。今年は上映会は予定していないけれど、夫と二人、この映画を見ながら静かに考えたいと思う。 

 

神戸の震災の後作られ、ずっと歌い継がれてきた「満月の夕」という歌がある。今夜、明日、日本各地で「満月の夕」が歌われるのだろうと思いながら、これを書いている3月10日の朝。  2017年3月10日 佳

 

 

再び「ジャズタイム・ジョニー」

ジョニーは、店舗無償支援によって、仮設のプレハブで営業を続けてきました。その無償支援の終了に伴い、移転を求められています。震災前に所持していた土地の代替地として提供される土地は確保したが、その造成地の完成は平成30年度だそう。店舗開設の資金の協力を求めています。

ポイントは、見返りのない募金であること。

「募金に協力した方が、再建した店を訪問してくれたとき、最大限のおもてなしはします。けれど料金などでサービスはできません。なぜなら、店舗の完成は終わりではなくスタートであり、メニュー1つ、コーヒー一杯を日々の糧としていかなければならないからです。」という、素敵な文章がありました。

 

再建募金は、やなぎさんが実行委員長です。彼は、岩手の奥州市に家があり、車で全国を歌いながら回っています。私は彼の歌が大好きだし、こういう活動の中心になる彼の生き方も大好きです。

 

興味のある方は、検索してください。 takatajonny@yahoo.co.jp

 

 

旅のdaiary

お休みをいただいて、旅をしてきました。

お寺と仏像、自然、美術館、珈琲と美味しいもの

いろいろ詰まった旅です。

 

1日目

新幹線で京都へ。米原あたりから雪、新幹線は20分遅れ。琵琶湖線に乗り換えて近江八幡へ。今回の旅の一番の目的、「ボーダレスアートミュージアムNOMA」へ行く。ここは日本のアウトサイダーアートの拠点。昭和初期の町家を改装して2004年にオープン。蔵や和室も活かされて展示スペースになっている。2010年にパリで「アールブリュットジャポネ」が開催された後、東京の野方でアールブリュット展があり、それを見て魅せられた。最近、アウトサイダーアート関連の本を読み返したりして、ぜひ、ぜひ行きたいと思っていた場所。この日は「ing…障害のある人の進行形…」展の最終日。ずーっと行きたかったノマは、とても素敵な場所だった。空間も作品も、雪の中のたたずまいも、暖かくゆったりしている。近くに住んでいたら、何度も通いたい場所だった

 

2日目

こちらも、長い間行きたかった鞍馬へ。バスと叡山電車を乗り継いでいく。市内は晴れなのに、鞍馬は雪が降っている。駅前の天狗の鼻は、1月の大雪で折れてしまい治療中。とりあえずケーブルカーで本堂へ。雪に埋もれ、雪ははらはらと降る。そこから奥の院を通って貴船へ出るつもりだったが、結構雪が積もっているし、どうしようと躊躇していると、夫が歩き出してしまい覚悟を決めて歩く。途中お寺のスタッフが何人も出て、雪掻きをしてくれている。有難い。途中で何度か滑ってしりもちをついたが、ゆっくり2時間ほどかけて貴船まで歩き通した。

さて、その後、「京都にいったら天下一品の本店に行きたい!」という夫のたっての希望で、一乗寺にある本店へ。高円寺店は馴染だったけど、「本店はおいしい」という噂は本当だった。もう少し時間があったので、衝動的にバスを降りて、銀閣寺へ。ここは、外国人客がひっきりなしに流れていて、すごいことになっていた。疲れちゃって、ちょっと一休みと思ったら、自家焙煎珈琲の店に出会う。豆も買って帰った。

 

3日目

奈良に移動する前にと、ホテルから歩いて行ける東寺(教王護国寺)に行く。ここは密教の総本山。立体曼荼羅と言って、たくさんの仏像が配置されていて、思わず見とれてしまった。京都の駅のホームでうどんを食べて奈良へ。このうどん、関西のうどんってこういうのよねと思える正しいうどんでおいしかった。奈良では、まず、ネットで見た自家焙煎カフェへ、私たちの旅には、カフェも大切な一要素。実は、旅先にエアロプレスと粉にしたコーヒーをを持って行って、ホテルでコーヒー入れていて、足りなくなると地元のかーひーやさんで買ったりしている。

その後、ならまちを散歩し、大和肉鶏のお店で夕食。地酒やたがらすの浩然之気も少し。美味。

 

4日目

奈良でのメインは、室生寺。ひなびた駅から1時間に1本のバス。「ずっと階段なので、よかったら杖を」と言われ、杖を持って上る。ほんとうにずーっと石段が続いている。ちょっと熊野みたい。ここもかなりハードだなあ。行きたいところはだいたいハードなところばかりなので仕方ない。登りながら、日常のもろもろからどんどん離れていく。昔、ここを上ったであろう古の女人に思いを馳せる。女人高野と呼ばれる訳を肌で感じる。奥の院にはやはり雪が積もっている。お堂の中には、1200年も前からここにあるという仏像たちがひっそりと立っている。時の重み、変わらぬ佇まいの暖かさ。言葉もなくただ見つめた。ああ、ここへ来たかったんだ、ここへきてよかったとしみじみ思う。

室生寺の後は長谷寺へ。こちらは祈りの回廊と呼ばれる緩やかな坂道を上る。大きな観音様と絶景が待っていた。

5日目

バスで西ノ京へ。薬師寺の荘厳さと、唐招提寺の渋い落ち着き。薬師寺の仏像は、スマートで独特な顔つき。比して唐招提寺の仏像は、ふくよかで、穏やかなやさしい表情。私はこっちの方が好き。薬師寺から唐招提寺へ至る道の途中、十割蕎麦の「さか本」のお蕎麦はとても美味しくて幸せ。夕方、県立美術館に立ち寄り、「祈りの美」展を見る、東大寺の僧だった清水公照さんの泥人形がいい。平山郁夫の絵も、もっと見たかったけど時間切れ。もったいなかった。

夕食は、北町にある「スマガザン」でフレンチ。ここは、去年来た時、その美味しさと量とリーズナブルさに感動、絶対また来ようと思った店。パテとカリフラワーのスープ。前菜がメインみたいで、私はサーモン、夫はジャークチキンのサラダ。メインはラムのクスクス添えとポークのビール煮込み。デザートは5種の盛り合わせ。もうお腹いっぱい!!奈良へ行ったら、ぜひ行ってみてください。

 

6日目

今回の奈良行きのもう一つの目的である「なら仏像館」へ。去年は工事中で休館だったので。奈良国立博物館に隣接している、というか地下でつながっている。これが圧巻だった。ずらっと並んだ仏像たちは、どれも国宝、重文級。その質も、量も、圧倒的。会館と同時に入ったけど、2時間では足りなかった。新幹線ぎりぎりまで見て、隣の奈良博までは全然無理。ここは次回は丸一日かけようねと言って帰ってきた。

 

おまけ

 

帰ってきた次の日、網野まことさんのサポートギタリストで、アスモ劇場に出演。

日常が戻ってきました。

 

でもまた、旅したいと思います。

仏像にも、はまっています。

(2017年2月22日  佳)

初詣と蓬莱551とカレーパンと悲しい白菜

 

気が付けば、1月も中旬です。

けっこう寒いです。先週は、ここでも雪が舞いました。

都道府県対抗駅伝の女子は、大雪の京都の中を走っていたし、昨日の男子もお天気の広島かと思ったら、途中で雪降っていましたね。今年は雪が多そう、千葉でも降るかな。

 

初詣

 

今年の初詣は、国吉神社に行きました。いつ行っても、国吉神社のご神木はいいなあと思います。

干支の素焼きの鶏付きのおみくじは大吉。何かいいことあるでしょうか。

帰りに郷土博物館で、静遥(しずはる)さんが夷隅川を描いたパステル画を見て、それから山羊にも会いました。国吉の町中の交差点のそば、めぇ~って鳴いてました。のどか。

 

 

蓬莱551

 

大阪名物551の豚まん、知ってますか?うちの夫の大好物の豚まんとシューマイ。南海線のホームにあって、小さいころから食べていたそう。

これが、たまたま千葉のそごうに来ていて、千葉に出たついでに並んで(!)買ってきました。超人気で行列ができると聞いて、並んでたらやめるからねと言ったけど、微妙に列が短くて、えぃッと並んでみました。結果的には30分。その日の夜ご飯に食べて、残った豚まんは次の日、ストーブにのせて焼きました。昔は火鉢で焼いたそうです。まわりがカリッとしてこの方がおいしいかも。ちなみに、公式には、日持ちは本日中と言って売っています。また、ただの蓬莱と蓬莱551は、違う店です。551には冷凍はありません。

 

 

カレーパン

 

お餅もいいけどカレーもね、なんてCMがあったけど、久しぶりに、お店用ではないおうちカレーを作りました。じゃが芋と人参と玉ねぎに牛肉、カレーのルーを使って。これはこれで美味しい。そのカレーが残ったので、思い立って揚げないカレーパンを作ってみることにしました。去年買った「日本一簡単に家で焼けるパンレシピ」に載っていたもの。これは本当に簡単にパンが焼けます。捏ねるのも5分でいいし、あとは25℃でほっとくだけ、時間はちょっとかかるけど、ラクチン。ただし、前にやった時は夏だったからいいけど、今度は冬なので、25℃にするために、ビニール袋にお湯を入れた器と一緒に入れておく簡易発酵器を使いました。結果的には、うまくできたのと、カレーが出てきちゃったのとありましたが、味はそこそこ。揚げてないけど、うえにのせたパン粉がカリカリになって、カレーパンらしくなりました。また作ろうっと。

 

 

悲しい白菜

 

 

庭に植えた白菜が、悲しい。最初はとてもよく育っていたのに、ある日、あれ~これどうしたの??って感じで葉っぱが短くなっていき……今では見るも悲しい有様。虫だったら葉っぱに穴があいていくだろうし、病気なら腐るだろうし、モグラじゃないし、絶対誰かが食べていると思うのだけれど。でも鳥がたかっているところも見たことないし、猫は通るけど猫は白菜食べないと思うし、何だろう。一度だけ猫ではない動物を見たことがあるのだけれど、それかしら。謎です。

お店の入り口に人が通るとピンポンってなるセンサーを付けていますが、それが風もないのに、誰も来ないのになることがある。家ではそれを「霊が来た」と言っていますが、霊が食べているのかしら。

去年は白菜1個収穫できたのに、今年は3本植えたけど、ダメみたい。悲しいです。

朝日

 

最後に、うちの中から見た朝日です。

日の出は、今日は6時45分。

冬至の頃の方が、日の出は早かったってご存知ですか。

日の入りはだいぶ遅くなったけど、それで少しずつ日が伸びているけど、まだまだ朝は暗くて、7時にならないと明るくなりません。

大寒を過ぎたばかりだし、寒さ本番はこれから。春はまだ遠いかな。

 

風邪をひきませんように、腰とか膝とか痛くなりませんように、

なんて祈りながら、日々を過ごしましょう。

 

今年もよろしくお願いします。(佳 2017年1月23日)

 

 

 

 

年末だから…大好きなところへ

年末になると、なぜか、年内に○○しようと思うもの。

ずーっと買おう買おうと思っていたものを、年内に買おう!とか、ずーっとやろうと思っていたことをやろう!とか、いろいろありますね。行きたいところに、年内に行こう!というのも、その一つ。

 

外房に来て、いいなあと感じるところは多々あるけれど、ここ大好き!!と思える場所もいくつかあります。

その中の2つへ、「よし・年内にもう一度行くぞ」と思って、行ってきました。

 

まず一つは、睦沢にある『ときわぎ工舎』というパン屋さん。障害のある人たちが働いています。

まず。行く道がいい、のどかな里山の風景の中を自転車で走っていきます。小さなトンネルを抜け、車もほとんど通らない道をひたすら走る、峠越えをすると、そこはいすみ市と睦沢町の境です。睦沢というのは、本当に素敵なところ、好きだなあと思いながら行きます。運動場と幼稚園があって、そこから入っていくと、ときわぎ工舎があります。古民家を改装したようなウッディな作り。入ると、睦沢の小麦を使ったパンやお菓子、ジャムや味噌、それから彼らの作品が並んでいます。作品は、手芸品、アームカバーやポーチや手提げバッグとか、小さい椅子やトレーなどの木工品とかいろいろ。肥料なども置いてあります。これを見るのも楽しみです。

 

そしてパンは、昔のパン屋さんを思い出すような懐かしくて美味しいパンです。その上リーズナブル。焼きあがったものから並べられていくようで、その時にあるパンを買います。最近のお気に入りは、ここで食べること。テーブルと椅子がおいてあり、イートインできます。嬉しいことに、コーヒーは200円だし、おまけのラスクまでついてくる!スゴイですよね。この日は、ピザパンと新作のタンタンパン(勝浦担々麺を意識したというピリ辛挽肉が入ったパン・おいしかったよ)夫の好物のあんぱんと、モンブランパンとかを買って、二人で半分こしながら食べました。

 

レジでお札を出して「これでいい?」と聞くと「もちろんだぜ」という楽しい答え。スタッフの人に手伝ってもらいながら、レジを打ち、ちょっと間違えたりもしながら、お釣りを出してくれました。

カウンターの向こう側の作業スペースでは、みんな働いています。給食のパンを作ったりもしているようで、「次は2年1組だよ」という声も聞こえてきます。ゆったりとやさしい雰囲気。東京にいた時、障害のある中高生と過ごしていたので、私にとっては古巣に帰ったような気分。改めて、ああ、いいなあ、和むなあ、ここ大好きと思います。

ここに来るとほっと暖かい気持ちになれるので、貴重な場所です。

 

パンを食べて、個性的なウサギの絵はがきと、牛乳パックで作ったポチ袋と、ラスクとクッキーを買って、ふと見るとお米がある。睦沢のお米、新米、美味しいというので買ってみることにしました。5キロ1500円、安いよね。このお米、とってもおいしかったです!!(まだありますが、大切に食べようっと)

 

*ときわぎ工舎 長生郡睦沢町長楽寺496 0475-44-2299

           土・日・祝休み 10301630

 写真はイートインテーブルの上にあった雪だるまたち。可愛いね。

 

 

さて、もう一つの大好きな場所は、カフェ923。隠れ家カフェです。ものすご~くおいしいピザと、ものすご~~くおいしいお菓子があります。

 

初めて行ったのは、自転車で適当に走り回っていて、生け垣の間に小さな木の看板をみつけ、あれ、カフェだって、オープンだって、行ってみようと入ってみました。車だったら絶対通りすぎている、自転車だからこそ見つけたカフェでした。食べてみて、またびっくり。なんて美味しいんでしょう、こんなおいしいピザなかなかたべられないよぉ、とそれ以来お気に入りです。すてきな女性が一人でやっているお店なので、ゆっくりペース。ソファ席が2つ、とテーブル席が1つ。ゆっくり雑誌とか見ながら待ちます。ピザは、石窯で1枚ずつ焼かれます。二人で2枚、でも1枚ずつ出てくる。これがまたいいんです。大きめのピザですが、ペロッと食べられちゃいます。夫のお気に入りはマルゲリータ。私はいろいろ、昨日は気まぐれピザにしました。アンチョビとオリーブとケッパーだと聞いたら、もう絶対それ、と頼みました。う~ん、やっぱりおいしい。お腹いっぱいになっても、ここに来たらデザートを頼まずにはいられない。この日はリンゴのタルトでした。これがまた絶品。プロの味です。いつも堪能させてもらっています。

最近、お店のママさんと共通の知り合いがいることもわかり、親近感が増しました。帰りは、すぐ近くの海へ。いつもは人がいないのに、釣りの人がいっぱいいました。そういう時期なのかな。

しばらく海を眺めて帰りました。

こちらも、ホントにゆったりできます。大好きな場所です。

 

*カフェ923は、一人でやってるし、情報は非公開。探してみてください。ヒントは太東海浜植物群落です。実は結構な人気店、入れないこともあるので、電話してくださいと言われています。時間をかけて、のんびりと美味しいものを食べたい方は、電話番号をお教えしますので、お問い合わせください。

 

さて、どちらも、キーワードは、ゆったりのんびり。大好きな場所は、時間を気にせずなごみ、楽しむところ。心の充電をするところであり、自分をふりかえり、明日に思いをはせるところのようです。(12月22日 佳)

 

 


1122ハンドピック

自家焙煎の珈琲を、やっと売るところまでたどり着きました。

当初から、東ティモールの生豆を焙煎して売りたいと思っていました。

 

仕入れ先は、NPOパルシック。「カンタ!ティモール」の上映会の際、東ティモールを訪ねる旅のチラシを置いて下さいという働きかけがご縁の始まりでした。聞けば、東ティモールのコーヒ―やハーブティーを扱っているとのこと。それもフェアトレードで。早速購入してメニューに加えました。

高円寺の時は、上映会の時には、よくティモールの珈琲が出ていました。皆さん「せっかくなので…」と注文してくださいます。でも、私はパルシックの商品が今一つでした。ちょっと苦いかな。外房に来て、夫が生豆を仕入れて焙煎すると言ったとき、まず浮かんだのが東ティモールの珈琲豆がいいなということでした。自分で焙煎すれば、いい具合に焙煎できるかもと思ったのでした。

 

それから、試行錯誤、いろいろ試して、ティモールの豆じゃないものも、珈琲工房さんから仕入れてやってみました。夫の焙煎の師匠は珈琲工房の大石さん、たくさんアドバイスしてくださいます。他にも、包装用の袋やら、それを熱で閉じるシーラー買ったり、袋に貼るシールや同封するリーフレット作ったり、郵送や宅配のこと調べたり…、ホントにいろいろやって、やっと販売するところに来ました。焙煎具合も、中煎りを中心に浅めや深めができるようになりました。とても美味しい!

私の静岡にいる弟や、水戸の友達が注文してくれたり、クローブのノンボーダーの時に売らせてもらったり、……皆さんご協力ありがとうございます。中でも、「カンタ!ティモール」上映の話をそもそも持ってきてくれて、上映会にも何度か足をはこんでくださった名古屋の江口晶さんも、ティモールの珈琲豆を買ってくださっています。もうちょっと深めがいいかな、などと注文を付けてくれたりします。

 

焙煎に関わる作業は、ぜ~んぶ夫がやっていましたが、先日高円寺に行ったときに立ち寄ったパルシックで、中途半端な量の豆を引き取ってくれないかというお話があり、それを送ってもらいました。前の荷の最後の豆ということで、粒が小さかったり、ピーベリーが多かったり、そんなことを夫が言っているので、どれどれとみてしまいました。つまり、ついに、ハンドピックに手を出しちゃったのです!!

 

やってみると、これが、はまります。それからは、ちょっと時間があると、知らず知らずのうちに、トレーの上にコーヒー豆をのせて、仕分けしているなんてことになっちゃいました。チャフという薄皮がかかっていたりして、始めは悪くなっている豆かどうかよくからなかったのですが、だいぶ慣れてきました。ティモールの珈琲豆は千差万別、一つとして同じものはありません。せっかく向こうの人が丹精込めて作った珈琲豆なのだから、なるべく救ってあげたいと思いつつ、でもかえって悪い豆を入れると、おいしくない珈琲ができちゃうし、どうしよう、と日々悩みながら、ハンドピックしています。

 

先日、夫が、「これって二人でやってると、おじいさんとおばあさんが縁側で縄を編んでるのに近い世界だよね」というので、たしかに!と思いました。老夫婦の田舎暮らしにぴったりの作業かもと思います。

 

1122日は、いいふうふの日だそうです。

1122、いいふうふは珈琲豆のハンドピック、私たち、いい夫婦でしょうか。


 

トレーの外、右側がピーベリーという丸い豆。一種の未成熟豆だそうで、2つに分かれるはずが1つに丸まってしまったものだそう。少ないので貴重だとか、味は変わらないとか、かえっておいしいとか、丸くてよく回るので焙煎しやすいとか、いろいろ言われています。

11月24日、佳

 

 


高円寺の夜

112日の水曜日の夜、久しぶりに高円寺の稲生座でライブをやりました。実に110か月振り!!

昨年の1月の末以来ずっとご無沙汰していました。

最後のライブの時は、やなぎさんとで、その時は私にとっては結構ショックだったけど…。

その間、夫の母の死があり、引っ越しがあり、こっちの店の開店があり、いろいろあったけど。まあ、月日がすべてを流してくれたでしょうか。

対バンは、古い知り合いのギタリスト春吉のバンド「ダイアーウルフ」、彼は「帰ってきた若大将・水野たかし」と紹介してくれました。

 

思えば、久しぶりに稲生座に行こうかな、と言い出したのが、少し前。連絡を取ると、水野さんが来るなら何か企画しようか、と言ってくれたけど、それは、リハビリにならないからお断りして、弾き語りで行きました。

誰か来るかなと心配でしたが、大丈夫でした。

九州から、たぶんこれに合わせて上京してくれたご夫婦が来て、以前から水野の写真を撮ったりしてくれてた人が来てくれて。彼も体調を崩してたんだけど…。もとバンドのメンバーが子供連れて来て、高円寺のお店に来てくれていたミュージシャン仲間が来て…  いい感じのライブになりました。

もっと心配だったのは、ちゃんと歌えるのかなということでしたが、そっちも何とかクリア。

左手の親指がうまく動かなくて、痛いと言っていましたが、何とかなってきたようです。

 

 

オープニングは、今は亡き稲生座のマスター柴田ひろしが大好きだった「最終列車」。これをやらないと「”天国”やってないじゃないか」とクレームが来てたっけ。こちらに来てから作った曲や大切に歌い続けている曲を交えながら全7曲。最近歌いだした「あの日僕らは」、名古屋のいとうたかおさんが炎の雫でライブをやった時に、そうか、俺も歌いたいと思ったらしく、練習していた曲です。もう一つは、高円寺の石井明夫さんのの曲「セイクリッド マーシー」これは夜中にユーチューブで弾き語りバージョンを見たらしく、うん、いいなと思って、彼に「歌っていい?」と聞いたら、「どんどんやっちゃってください」とお返事がきたそう。「稲生座で歌うのは緊張するなあ」と言ってましたが、最後にはみんな一緒に歌ってくれていい感じでした。最後の曲は「祈りの歌」これもよかった!そして、アンコールは、えみちゃんを呼んで「see you,稲生座のひろしくんに捧げた歌です。コーラスで、前にバンドでベースを弾いていたまさやくんが飛び入り。まちがえたり、テンポが遅かったり、でもいい感じにできました。えみちゃんが後で、水野さんだんだんリタルダンドしてくるんだもん、と笑ってました。きっと疲れてきたんでしょうね。

ちゃんと歌えて、とほっと一息。こっちに来てから、クローブのノンボーダーで毎月やらせてもらったおかげでしょうか。ほんとうに良かった、来てくださった皆様に感謝です。

 

さて、コーヒーの豆をお土産に稲生座に、どうせならちょっとう売ろうかなと持って行ったら、あっという間に完売しました。こっちもよかった!少しずつ、自家焙煎した豆の販売を始めています。送料がかかるけど、郵送もしています。お問い合わせください。

実は、高円寺に行く前に、うちが東ティモールの生豆を仕入れているNPOパルシックの淡路町マルシェに寄ってみました。パルシックとは「カンタ!ティモール」の上映会がきっかけで知り合い、ご縁が続いています。顔みしりの方がちょうどいて、いろいろお話しもできました。ハーブティーのお買い得品とかもあって、お買い物もしちゃいました。フィリピンの黒砂糖も買って、稲生座にも上げようっと、と買いました。

 

ライブの後は、懐かしい人たちと語らって、そんなこんなで高円寺の夜は更けていきました。

夜は雨が降り出し、ホテルへ直行。翌朝、すごくいいお天気で、久しぶりの高円寺をおさんぽ。前に炎の雫があった中通りを歩いてみました。老舗のお店はそのままだけど、駅に近いところはだいぶ変わっています。炎の雫のあったところは、今は空いているみたい。私たちが出たとき、次が決まって営業してたはずだけど、やめちゃったのかな。

朝ごはんは、夜中稲生座の帰りに食べた懐かしの富士そばで。なんかおいしくなってる!? 私は紅生姜天蕎麦、夫は天玉蕎麦。東京屋でお気に入りのウエハースを買って、のんびりと総武線の各駅停車で千葉へ向かいました。

町に出たついでに紙類を買いたいな、ヨドバシにでも行こうかと話していましたが、祝日だし、新宿なんて人が多くて大変そう、どうしようか、そうだ千葉にもヨドバシあるじゃんということで千葉で買い物して帰りました。

すっかり都会離れ、人込み混雑ダメになっているのを自覚した私達でした。(114日 佳)

 

 

かぼす

 

あっという間に10月も終わりですね。

 なんだか、寒くなったり、暑くなったり、安定しない気候です。

 

この秋は、「実りの秋」とは言えませんでした。

 

まず、8月の半ばからの台風続きで、野菜がほとんど枯れてしまったり、葉っぱや実が落ちてしまったり。

 毎週のように台風が来て、雨も多くて、日照がない。こんなんじゃ植物は育ちませんよね。

 

どこに行っても、野菜がない!高い!おまけに、九州や北海道でも地震や大雨で、ホントに大変。ジャガイモや玉ねぎすら入らなくなったみたいです。こんな時は、生協が助かります。欠品はあっても、値段が高くならないから。

 

さて、、去年は柿がいっぱいなって、干したり、親戚に送ったり、いろいろしましたが、今年はまったくなりません。

 見事なくらい、全然なし。柿は1年おきとはよく言ったもの。キウイもいっぱいとれたのですが、こちらも78個なっているだけ。果物一般そうなのかも、とおもいつつ、来年に期待しましょう。

 

 その代り、今年はかぼす(?)がものすご~~くなりました。たぶん、かぼす、すだちでもゆずでもないと思います。

 これ、どうしようかな、と思っていたのだけれど、まず、いくつか取って絞ってみました。酸っぱいけどジューシーでおいしい、ちょっと甘味はあるかな。ということで、ケーキに入れてみました。レモンのケーキがあるのだから、いいかなと。これが結構いい感じ。遠くの方で酸っぱさが香る。

 

でも、そんなもんじゃ、全然使いきれないので、えいやーと、絞ってポン酢にすることにしました。とある朝、ざる2つ分のかぼすをとって決行!レモンを絞るお皿で絞りましたが、小さくて種が多いので大変。手はべとべと、直ぐに種がたまるし、果汁はちょっとしか取れない。でも、頑張りました。2時間ほど絞り続けて、600ccの果汁がたまりました!!瓶1本分です。これに10%のお酢とお塩をちょっとだけ(減塩なのでほんの少し)混ぜて冷蔵庫で保存。しばらくもつようです。考えてみれば、うちの夫は味ポンが嫌いで、黄色いポン酢を探して買っていたのだけれど、これでそんな必要はなくなりました。天然の果汁がいいに決まってます。お鍋するのが楽しみです。

 

それでも、まだまだ、木になってます。どうしましょう?黄色くなる前にまた絞ろうかな、それとも、黄色くなってからジャムでも作ろうかな、と考え中。それにしても、これも1年おきかしら?去年はなかったような…それとも気づかなかったのか…来年もなるといいなあ。

 

今さらですが、10月の初めに、青森に行ってきました。五能線に乗って絶景を見たり、十二湖の神秘的な色とブナの自然林を歩いたり、三内丸山遺跡で古代に思いをはせたり、県立美術館で青森出身の棟方志功や奈良美智や寺山修二のアートに触れたり、いろいろあったのですが、中でも印象的だったのは、五所川原の立佞武多。青森でもねぶたを見たけど、立佞武多は凄い迫力。なんだか惹きつけられるものがありました。ずっと途絶えていたものを復活させ、ねぶたの通るところは電線を地下に埋めて街づくりからやり、その年年の厄災や社会状況に思いをはせながら、それを鎮めようと願いを込めて作る、ねぶたを作る人たちの心意気、哲学に惹かれるものがあるのかもしれません。立佞武多が実際に出動する祭りを見てみたいものだと思いました。

 

 

 

さて、今度の日曜日、1030日は、久しぶりの「カンタ!ティモール」の上映会です。140018302回やります。無謀かなと思いつつ、一人でも多くの方に見に来ていただければと思います。よろしくお願いします。

 

(  10月27日 佳)

 

夏から秋へ

 

気がつけば9月も半ば、秋らしくなってきました。

 

山田のかかし祭りというのがありました。

 

時々コーヒーを飲みに来てくれる方たちが、「かかしコンテストに出品したのよ、何か入賞はしてるみたい」と言ってたのが7月の終わり。そのかかしが、一月以上たって、やっと太東の郵便局の隣の田んぼに展示されました。そういえば、去年も突然そこにかかしが立って、なんだろうと思っていました。去年は桃太郎だったかな。今年は盆踊り、去年よりずっと数が多い。力作です。かかしのある風景、なんかほんわかしますね。

 

 

雨が多いせいか、蛙たちが元気です。

 

夏の暑い盛りより、最近の方がよく見かけます。

 去年より遅いような気がします。毎日お風呂場にいたり、洗濯物干しの上に乗っていたり、お店の「営業中」の看板の上にいたり。昨日なんか、入り口のウッドデッキ周りに10匹以上いました。雨がざんざん振っている時は、なぜか静かで、小降りになったり、止んだかなという頃に、しきりに鳴き始めます。

小さな体のくせに、声は大きい。

 時々、家の中にも入ってきて、ぴょんと飛んでます。

 

 

お米の刈り取りもほぼ終わりました。台風でずいぶん倒れてしまって、早めに刈り取っちゃったところもあるようだし、ダメになってしまったのもあるかもしれません。今は機械でガーッと刈って処理しているのかな。そう思っていたところ、珍しい光景を見かけました。刈った稲を束ねて干してる!そういえば、稲って干すんだったっけ。実際に間近で見たのは初めてなのに、何か懐かしい風景のように思うのは何故でしょう。

 

 

 

 

台風と言えば、この夏は台風の洗礼を受けました。

 

8月半ばから、毎週のように台風。中でも、8月22日の台風9号は凄かった。館山に上陸し、北上、一日中強い風と雨が続きました。その前の週の台風が大したことなかったので、始めはのんきにしていたのですが、どんどん風雨が強くなり不気味、避難準備情報も出て不安になりました。ようやく雨が弱まり、ちょうど生協さんの配達が来て、出てみると、玄関先に植木鉢みたいなのが落ちてる、何これ?と見上げると、屋根の瓦がずずっとずれて一部落っこちていたのでした。ルーターに水がかかって、電話やネットが通じなくなるし、庭に置いてあった収納ボックスが飛んで中身は散乱、本体はどこに行ったか分からないし、いろいろ大変でした。

 

お祭りもありました。

9月13日、上総十二社祭り。

上総一ノ宮の玉前神社を中心として、周辺各神社のお神輿が一堂に会し、海岸を駆け抜けるというお祭り。神馬も海岸を描けるというので、それを見に行こうと思っていたのだけれど、あいにくの雨で断念。

でも、自治会の当番で、夜に駅に帰ってくるお神輿の接待だったので、それには参加。すると、思いがけず、盛況なお神輿が帰ってきました。白装束の男たち、若者、子供を含めて50人くらいいたかな。飲み物とから揚げ配って、ゴミを集めただけだけど、なんだか高揚しました。

これは前日の朝、神社で出番を待つお神輿です。

 

 家の玄関の脇に、突然赤い曼珠沙華が咲きました。去年はこんなのなかったのに、不思議です。

 

曼珠沙華、別名彼岸花、死人花とも幽霊花とも呼ばれる。お彼岸、つまりあの世とこの世が最も通じやすい時期に咲く花。百恵ちゃんの歌では、「まんじゅしゃげ」じゃなくて「まんじゅしゃか」だったっけ。サンスクリット語で天界に咲く花という意味だそうです。

 

この花の不思議さは、生長過程が変なこと。秋雨の頃芽を出し、1日に10センチも伸び、あっという間に50㎝くらいになって真っ赤な花を咲かせる。1週間もすると、花も茎も枯れ、球根から今度は葉っぱが伸びてくる。冬から春の間も葉っぱは繁ったまま、夏に葉を枯らして休眠、秋雨の頃目覚めるというサイクル。私も初めて知りました。普通の植物と違いますよね。花のある時期に葉がなく、葉のある時期に花がないから「葉見ず花見ず」とも呼ばれるとか。他にも「狐の松明」とか「剃刀花」とか、妖しい呼び名がいろいろあるそうです。

 妖しいなあ、この花、ホントにこの世とあの世をつなぐような気がします。

(9月16日 佳)

 

ラビリンス榎沢

 

うちは岬町椎木、隣の地区榎沢は、田んぼと里山風景が広がる、素敵な所です。

私の朝のお散歩コースの一つですが、実は私にとっては鬼門、行くたびに迷っています。

 

 

太東郵便局の先を入って行くと、のどかな集落と見渡す限り一面田んぼ。気持ちいいなあと思いながら歩く、こっちから来たんだから、ここを曲がって、その先を曲がれば戻れるはずと歩いていると、あれ〜変だなあ、どっち行けばいいんだろうということになる。

 

最初に迷った時は、田んぼを脱出して、車の通る里山沿いの道に出て、いくら行っても景色は変わらず、駄目だこれと諦めて、来た道をひたすら戻った。これで10000歩を軽く超えました。それから、何度か榎沢にトライして、思った通りに行けたことはほとんどない。家でアイパッドの地図を見てからいくのだけれど、いっつも違う所に出て、何で⁈ と思います。

 

目印になるパールというエステサロンの黄色い建物があり、小さな川(水路?)の反対側に大栄寺というお寺がある。その川を渡る道を、見つけたのは3度目の時。雑木林の中の道じゃないみたいな道でした。そこに至るまでに動物達が会議してます。木彫りの動物がちょっとした広場にいるのです。なんか不思議。

パールからの道と大栄寺からの道がぶつかる五叉路は、密かに私が謎の五叉路と呼んでいる所。最初の頃は、どうやってもそこに出てしまって、謎だ、謎だと騒いでいました。

 

そのあたりは、やっと理解して克服しましたが、この前また派手に迷ってしまいました。

 

ちょっと田んぼの中通って帰ろうとパールの先を曲がり、もう少し行こうかなと思ったのが間違い。行けども行けども田んぼの中、ここ何処?状態になった頃、谷上青年館というのを見つけました。え〜、谷上?、やばい。すると、たまたま草刈りをしている女性がいました。「すみません、郵便局の方に行くのはどっちですか?」と声をかけると、「太東の郵便局?距離あるよ、乗せてってあげようか」との答え。親切だなあ、それにしてもやっぱ遠いんだと思いながら、「大丈夫、のんびり帰ります。」と道を教えてもらい、がんばって歩いて帰りました。これで15000歩超え。ふー疲れた。

 

 

そして、今日は、郵便局の先の道を上って行って、左に折れて榎沢の田んぼにでるつもり、前にそうやって帰ってことがあるので、そのコースを逆行するつもりが、やっぱりそうはいかなかった。田んぼの中をぐるーっと大回りするはめになりました。

榎沢、恐るべし。私にとってはラビリンスです。

 

 

さて、こんなに何度も迷うなら、パッド持って行けばと夫に言われます。何でそうしないのか、だってそれじゃつまらないじゃないですか。え〜ここどこ?、こっちいったらどうなるかな?、なんてドキドキしながら歩くのが楽しいのです。だから、最近、方向音痴なのもまんざらではないと思っています。一度通った道でも、ちゃんと覚えていないから、また、こっちは…?なんて楽しめるのですから。

 

写真は今日の榎沢の風景。色の違いが分かりますか? 稲穂が黄色くなっているところと、まだ青いところが隣り合わせにあります。田植えの時期のっちょっとした違いで、ずいぶん違うのですね。それにしても、田植えは連休の頃だったから、稲って育つの早いのですね。おいしい新米の季節も近いのかもしれません。(8月3日 佳)

 

 

 

 

もう夏?

今日は暑い! 夏の陽射し。

お散歩してたら、満開のひまわりに出会いました。夏だ!!って感じですね。

そういえば、いつのまにか、アジサイは枯れてきて、みすぼらしくなっている。茶色くなっても散らないのを不思議に思って調べてみたら、あの花びらのようなのは、花じゃなくて顎だから散らないのだとか。柿のヘタと同じだと聞いて納得。だから冬でも幽霊のようになって残っているのか。

 

 

 

不思議と言えば、これ。

棕梠の花です。これは夏じゃなくて春に咲いたのだけれど。

初めて見ました、びっくりです!

何あれ、バナナみたい、と言ってたら花だったよう。

面白いねえ。

夏と言えば枝豆ですよね。

これは、今シーズン初の、おじいさんの畑の枝豆。

去年の今頃、引っ越してすぐに、田んぼの中にある畑で、耳の遠いおじいさんが売っている枝豆を買いました。これがあまりにもおいしくて感動!以来、時々おじいさんの野菜を買っていましたが、冬からあまり見かけなくなり、心配していました。久しぶりにおじいさんに会えて、お話できて‥おばあさんが具合が悪くてなかなか思うようにできなかったとのこと。最近またよく見かけるようになり、嬉しい。おまけに枝豆ゲット。市販品の4倍くらいあって200円!!甘くておいしい!!

この夏も、おじいさんの枝豆、食べますよ~。

 

今週の火・水で、長男夫婦がお孫ちゃんを連れて遊びに来たので、海までお散歩しました。

この日は涼しかったけど、平日なのに結構な人出。

海の家も、1軒だけ稼働していて、みんなでソフトクリームを食べました。やってないところも、鋭意準備中。今週末からということだったので、太東海水浴場は、本格的に開始してオンシーズンに突入ですね。(シルエットは、赤ちゃんをだっこしたお嫁さんと息子です)

 

そして夏の恵み、家の庭で獲れた野菜です。

コメリで見かけた苗を買って来ては植えてたら、

いろいろ収穫できました。

トウモロコシは、最初のころアブラムシがついてどうなることかと思ったけど、木酢液で解決しました。

他にもなす、大きいトマト、ししとう、枝豆が育ち中。シソもバジルも元気。

ミニトマトはすっごく甘くて美味、シュガープラムという品種です。きゅうりは今日3本目が収穫できそう。

コメリで棒を買って来て、へんてこりんな支柱を作りました。何か楽しいです。

 

さて、今日は参院選の投票日。千葉に来て初めての選挙。太東小学校の投票所まで行ってきました。さっき防災無線で、今の投票率12%くらいと言ってました。今回の選挙から、18歳で投票できるようになったのですよね。私の友達、まさに子供が18の人がいて、どう思う?と聞いたら、ダメ、何にもわかってない、自分のことだと思ってもいないと言ってたけれど、どうかな。18~20歳の人の投票率がどれくらいあるのか、気になっています。

 

最後に、明日は、久しぶりの「カンタ!ティモール」の上映会です。

平日の昼間ですが、お時間のある方はぜひ。お待ちしています。(7月10日 佳)

 

優雅な朝食

 

梅雨なのに、夏みたいな朝です。

 

今日は、外で朝ごはんを食べようと思い立ちました。

 

 

 

少し前から置いてみた外用のテーブルと椅子。

 

犬の散歩の途中でコーヒーを飲みに立ち寄って下さる方の、「外にテーブルがあったらいいのに」の一言がきっかけでした。そうか、外にちょっと座れるところがあるといいかもね、とテーブルと椅子を2つおいてみました。

 

 

 

そのテーブルでパンとコーヒーの朝ごはん。サンドイッチは、BLC(ベーコン・レタス・チーズ、お店ではCE=卵ですが)と、自家製キウイジャム。これは去年引っ越してきた時にすでになっていたキウイ、10月に収穫したものの最後のやつ、さすがにしなびてきたのでジャムにしました。それをはさんだもの。赤ワインをちょっと入れちゃったので、色が美しくないけど、美味しいよ。飲み物は、アイスカフェオレ。なんと優雅な朝食でしょう。

 

聞こえるのは鳥のさえずり、時おりカエルの声。たまにハチがぶ~んと飛んでくるスリルも外ならでは。そっと吹く風が心地よく、朝からのんびり、まったりした気分。夕方のコーヒータイムは何度かしていたけれど、朝は初めて。朝ならではの爽やかさ、田舎暮らしならではの贅沢な朝でした。

 

 

 

さて、外のテーブルですが、実際にお客様が使ったのは、まだ2回だけ。1回目は、足が悪くなったレトリバーをカートにのせてお散歩の方が、ワンちゃんに氷を食べさせながら、アイスコーヒーを飲んでいきました。犬って、氷が好きなんですって。2回目は、やっぱり犬の散歩の途中で、テイクアウトのコーヒーを買ってくれたカップル。

 

実は、テーブルを置くきっかけになった方は、まだ使っていません。いつもコーヒーを飲む間、外で待たされていたワンちゃんが、こっちに来るのを嫌がって、道を曲がってくれなくなったと、最近はお一人でいらっしゃるという後日談があります。

 

 

 

そうそう、テイクアウトはないの?と何度か声をかけられたので コーヒーのテイクアウトも始めました。ホットもアイスも300円です。アイスコーヒーは、水出しと氷だし(氷が融ける水でじっくり出すコーヒー)を混ぜて作ります。これおいしいです。

 

 

 

ついでに、お知らせ。新メニュー。一つは辛さ控えめのカレー。いつものカレーはおいしいんだけどちょっと辛いという年配の方達の声に、あんまり辛くないカレーを作りました。鶏ひき肉とひよこ豆で、名付けてキーマメカレーです。そして、もう一つはチキンジンジャー。高円寺は稲生座のロングセラーメニューを、炎の雫風にアレンジ。

 

鶏肉の生姜焼きにライスと野菜を添えたワンプレートです。どうぞお試しください。

 

 

 

お天気のいい日に外でカレーとコーヒー、なんていうのもいいですね。あなたもいかがですか?(618日 佳)

 

手作りの看板と塀に絵を描く

 

4月に強風で倒れて落ちたフェンスをどうしようと、いろいろ考えた結果、自分たちで作ることにしました。

 

最初は、プロに頼んでついでに看板もちゃんと作ろう、なんて話も出たけれど、何度か話すうちに、たいそうな看板はいらない、ひっそりと小さな看板がいいなと思うようになりました。フェンスも、一応何にもないのはね、なんか建てたいね、ちょうどフェンスの内側にアイビーが生えているので、アイビー絡ませちゃおう、そのための枠があればいいね、というふうになって、ならば手作りでという結論に。先週から今週にかけて、実行。

 

フェンスは竹で作ろうかと思っていたのですが、ちょうどそのころ、朝のお散歩で、庭の手入れでお世話になったガーデニングの専門家U氏にばったり会い、アドバイスをもらうことができました。 竹は5年くらいしかもたないから鉄筋でいいんじゃない? と言われ、なるほど、そうか、それならコメリで材料は揃うし、いいかも。まずはフェンスが立っていた穴をほじくって、そこに鉄筋を突っ込み、セメントで固定。 それをリーフグリーンで塗りました。

 

久しぶりのペンキ塗り、去年の夏を思い出します。 楽しくなってきた! ついでに、残っているフェンスの色褪せたところも塗っちゃおう、S字の形のところをグリーンに塗りました。 一部だけ塗ったら違和感があるかなと思いながら塗っちゃったのですが、これが全然OK。 不思議だけど、なんか馴染んでいるみたい。

 

ついでに、塀のブロックの汚くなってるところも塗ろうか、という気になり、それもやっちゃうことにします。 赤っぽいレンガのうち、黒くなっているところを薄いピンクで塗ります。 これは結構やりにくい。 ペンキ屋さんというよりは、左官屋さんの気分。 ま、適当でいいか、とどんどん塗りました。 塗ってみたら、今度は、ここに絵を描いちゃおうかなと思ってしまい、また例の炎の雫マークをアトランダムに散らしてみました。 私が塀に絵を描いていると、通り過ぎるご近所の方達が、いろいろ声をかけていきます。 みんな変な人だと思っているんだろうなと思いながら、私は「遊んでいるんですよ」と答えます。 それにしても、自分の家っていいですね、何をしてもいいんだから。 本当に楽しめます。 フェンスが落ちたからこそ、再びこんな楽しい思いができたのかと思うと、災い転じて福となすとも、言えますね。

 

 

さて、看板作り。 さりげないシンプルな物をと考えました。 結局木の小さな看板にすることにしました。 ちょっと可愛くおうちの形にして、そこに何かの告知を貼っても雨の時に少しは濡れないように屋根を付けて、できれば道標みたいに立てたいと、いろいろ私が注文を出し、え~と言いながら夫が作ってくれました。私はそこに絵を描きました。飛び散った水と炎をイメージした炎の雫のトレードマークを、ここでは丁寧に描き、それからレコードと本とギターと…炎の雫を表すものたちを描きました。 すっごく楽しかった!!板を棒に取り付け、フェンスの穴に埋め込み、ニスを塗って夫が仕上げました。

 

今日、一応完成しました。う~ん、なかなかいい感じと、自画自賛している私達です

 

 

 

ところで、その前の週のお話を少し。

 

お店をお休みして、「東ティモールフェスタ」と「カンタ!フェスタ」に行ってきました。

 

21日の土曜日が上智大学で東ティモールフェスタ。 東ティモールを支援している人たちが集まり、物品の販売や飲食、シンポジウムやライブと盛りだくさん。 私たちがお店で出しているティモールコーヒーを扱うNPO・パルシックが今回のフェスタの中心。 コーヒーを始め、ティモールの食べ物や小物がいろいろあって楽しい。 フェアトレードコーヒーの飲み比べ、ハーブのケーキや酸っぱいミカンのジュースもおいしい。 伝統織物タイスのお財布やティモール島のマグネットも買いました。 シンポジウムのテーマは、フェアトレード、保険と医療、教育の3つ。 それぞれに関わっている団体のお話が聞けて勉強になりました。 ティモールのコーヒーは、現地の人がだんだん自覚をもってきて、本当に丁寧に作られているんだと改めて認識、私たちも応援していきたいと気持ちを新たにしました。 教育のシンポの司会はサレジオ高専の先生、実はうちの次男の出身校です。 その先生はもう20年も前から東ティモールの支援をしているそう。 小学校の給食は、電気もガスも使わずにお母さんたちがボランティアで作る、燃料は通学途中に子供たちが拾ってくる薪というインフラフリーの話は印象的でした。 最後は、東ティモールから来たミュージシャン、エゴ・レモスのライブ。楽しいイベントでした。

 

 

22日はカンタ!フェスタ。 映画「カンタ!ティモール」を愛する人たちの集まりです。 実行委員長は、映画にも登場している南風島渉さん。 広田監督のパートナーであり、映画の監修でもある小向サダムさん、映画のサウンドデザインを担当した元ソウルフラワーの河村博司さんを始め、映画のゆかりの人たちが集います。 ライブに始まり、監督の広田奈津子さんのお話。 映画に出てくる彼女は25歳ですが、今や一児の母。 今の日本の政府にもショックを受けるけれど、それを許している人々にもショックを受けると話す彼女の繊細さに、この感受性こそがカンタ!ティモールを作り上げたのだと実感しました。 ティモールの古老のカーペットの話をする彼女の落ち着いたやさしい語り口は心に響きます。 「自然から奪って回すものは、自ら終わっていく。カーペットは滑り落ちる。」

 

また東ティモールで環境保全の取り組みや教育など、さまざまなことに関わり指導的立場にいるエゴ・レモスと広田監督のトークでは、考えさせられることがたくさんありました。 休憩をはさんで、エゴ・レモスとミュージシャンたちのライブ。 エゴへのプレゼントとして、映画のテーマ曲でもある「星降る島」の大合唱もありました。 最後は、会場にいる人みんなが輪になって踊りました。 テぺかな。 昨日の上智大学でもそうだったけど、知らない人同士が手を取って踊る、みんな笑顔、こんなこと、めったにない。 なんと楽しいのでしょう。 盛り上がりました!

 

そんなこんなで、東ティモール一色の週末でした。

 

 

 

今、炎の雫では、水野たかしが、コーヒーの焙煎に取り組んでいますが、自家焙煎のコーヒーは、東ティモールの生豆を中心にしていくつもりです。 また、映画「カンタ! ティモール」の上映会も続けていきます。 これが私たちの東ティモールへの応援の仕方かな。(6月1日 佳)

 

 

 

近隣散策

 ゴールデンウイークの53日、サイクリングがてら万木城趾公園に出かけました。朝、防災無線で、万木城まつりがあると聞こえて、そういえばそのあたりに一度行きたいところがあるのを思い出し、行ってみようと。

 

いつもはほとんど誰にも会わない道を、時々車が通る、ゴールデンウイークを実感。裏道をたどり万木城手前までくると渋滞してる!びっくりです。駐車場はいっぱい、道に車を止めたり。展望台まで下から徒歩で登ります。人出多く、列になってる。けっこうきつい。上では、お相撲さんが来て、お餅をついたり、ちびっこ相撲を仕切っていたり。お店もたくさん。私たちは商工会のきゅうりとホットドッグ、移動車販売のピザを食べました。この房総ピザ美味しかった!

 

さて、行きたかった所は、万木城の横を入っていくとあるという寝釈迦さま。海雄寺というお寺。自転車は置きっぱなしにしてのんびり歩きます。ぽこぽこ歩い15分くらい。実は、いつもは開いていなくて、ガラス越しに見るしかないのだけれど、53日だけは毎年檀家の方が来て開けているそう。そんなこと全く知らずに来たのに、とってもラッキーでした。間近で寝釈迦さま見られました。すごく素敵です。

どうせなら、今度行こうねシリーズをもう一つ、ということで、清水寺に周ることにしました。こちらは、観音様。お寺は高台にある。がんばって坂を登ります。こんな時は、電動自転車の威力の恩恵を感じます。とてもいいお寺です。なんか奈良を思い出すなあ。仁王門、閻魔大王、赤穂四十七士像、そして観音様。なんとこちらも普段非公開の観音様を見ることができました。53日は、絶対このコース来るべきですね。来年も来ようっと。

 

*重要文化財の写真は撮れないので、興味のある方は

  いすみ市ホームページ  www.city.isumi.lg.jp/ 文化財の件指定文化財 を見てください

 

さて、昨日10日は、睦沢に行ってきました。今日の目的は、ときわぎ工舎でパンを買うこと。

 先週と違って、全然車も通らない田舎道をのんびりサイクリング。いすみ市を出て、睦沢町に入ると、ちょっと違う空気、なんとなく山の中感が漂ってきます。いいなあと思いながらペダルを漕ぎ、途中の小さな神社に引っかかりながら、上市場へ。まず、いすみの一押し・波の伊八の彫刻がある八坂神社へ。ここの作品は「向拝の龍」、社の外側上部にあり、いつでも見られます。

近くのお蕎麦屋さんで昼食。野菜の天ぷらがおいしい、特に舞茸の味が濃くて、量もたっぷり、お腹いっぱいになりました。お蕎麦でお腹いっぱいは珍しいかな。

 

それから、目的のときわぎ工舎へ。ここは障害を持つ人たちが一緒に働いているベーカリー。睦沢の地粉を使っているそうです。知っている方もいると思いますが、私は東京で知的障害のある中高生の放課後活動のNPOで仕事をしていました。そこの卒業生たちとボランティアスタッフが集まって、お昼を作って食べる「ごはんの会」を3年前からやっています。高円寺のお店が会場でした。今でも、23か月に1度、区民センターを借りて続けています。メンバーは今や作業所に通う社会人、このときわぎ工舎のようにパンやお菓子を作っているところに通っている人もいます。そんなわけで、どうもこういうところには親近感を覚えてしまい、つい買いたくなります。

一度夫が来て、いい感じだったよというので、ぜひ来てみたいと思っていました。木でできたかわいいお店、中にはテーブルと椅子も置いてあり、イートインもできるよう。今度はここで食べたいな。パンやクッキー、ラスクなどの他、ジャムや梅干しや切り干し大根、それに手作りのはがきやストラップなどの小物もあります。働いている人も一生懸命、ほんとにいい感じのお店です。もう少し近かったら、しょっちゅう来れるのだけれど。でもまた来ようっと。

 

その後、もう一つの目的である、道の駅・つどいの郷むつざわへ。前に買って美味しかった大根の実や、旬(?家の庭のはまだちょっと早そう)のソラマメなど野菜を買って帰りました。木酢液というのをコーラのペットボトルに詰めたのも売っていたので、それも買いました。説明書があったのでそれももらってきました。

 さて、近くの郷土博物館に寄っていこうかなと思ったら、なんか空気が湿っぽい。夕方からは雨の予報だし、帰った方がいいかなと帰ることにしました。博物館はまた今度ね。(511日 佳)

 

春のアルバム

田んぼに水が入って、朝日にきらきら光っています。

既に田植えが始まったところもあります。

季節は着実に進んでいます。

春です!第2弾。

春の恵みを満喫しています。

 

先週茂原公園にお花見に行きました。

 

満開の桜、きれいでした。

池にかかる橋と弁天堂という光景は、私が小さい頃からなじんだ井の頭公園を思い出しました。

 

 

桜の花の後、気がつけば梨の花が咲いています。

ここらあたりは、梨の産地、青いネットで囲われた梨畑は、まっ白な花が満開でした。

 

 

野を歩けば、やさしい色彩にあふれています。まさにそこここで花盛り。黄色、白、ピンク…。

 

収穫し終わったブロッコリーや春菊、そのまま植えていたら、きれいな黄色の花が咲きました。

 

 

お店にも、道端で咲いていた花を飾ってみました。

雑草だけど、可愛い。私は、雑草の方が好きかな。

 

 

食べる恵み、まずはふき。

玄関先のふきみたいな葉っぱは、食べられるふきだとわかって、じゃあと採ってみました。皮を剥き(筋をとるともいう)ゆでてあく抜き、これが結構手間です。ゆでたものを薄味でにて、残りはきゃらぶき風にちょっと濃い目に味付け。おいしいです、ごはんのおともにぴったり。。

 

 

 

 

そしてなんといっても、筍。

ご近所の方からいただいた、その日の朝に掘ったという筍は、もう感動的な美味しさ。真っ白できれい、皮の内側までホントにきれい、あくなんか全然ない、

ゆでた後の汁は透き通っています。お刺身風にスライスして、煮物にして、そしてたけのこご飯と、満喫しています。

あげくは、筍の季節にはいつも春巻きを作るという方が、揚げたての春巻きを持ってきてくれて、これがまた美味。幸せです。

筍大好き!

 

ところが…

いいいことばかりじゃない。この前の日曜日は春の嵐でした。

ものすごい強風、営業日でのぼりを立てていたので、それが飛んでないかと心配で見に行くと、のぼりは大丈夫だったけど、看板と掲示板を付けていたフェンスが。完全に落ちちゃいました。老朽化して、ちょっとグラグラしていたから、仕方ないとは思うのですが、ショック!さて、どうしましょう。

ところで、九州の地震、大変です。お見舞いを申し上げます。

地震が続く上に、風や雨が強かったら、さぞかし怖い思いをなさっているだろうと思います。

風で塀が壊れたくらいで、ごちゃごちゃ言っていては申し訳ない。私たちにできることは何か、考えていかなくてはと思います。(4月19日 佳)

 

 

春です!

外房は春です!

 

数週間前のある朝、ホーホケキョと正統的な鶯の鳴き声、ちょうど梅がきれいな頃でした。梅に鶯というのは本当なのねと思いました。そうこうするうちに、蛙が鳴き始めました。久しぶりの蛙さん、冬眠から覚めて活動開始。

 

春なんだなと思ったら、いきなりいろんな花が咲きます。家の庭では、なぜか白い花が終わった梅の木に赤い花が咲き、こぶしの木につぼみがたくさん付き、黄色いレンギョウ(たぶん)に白い沈丁花、細々と咲き続けているボケ、春だぞ~とわっと咲きました。近所を歩けば、菜の花の黄色、雪柳の白、早咲きの桜かな、濃い桃色に、伸び始めた草の緑。溢れる色彩に誘われるように、人々も動きはじめて、あちこちの田んぼや畑で作業が始まっています。

 

 体中で春を感じに行きましょう、と、国吉の方へ出かけました。里山の風景の中を、のんびりと自転車を走らせます。水ぬるむというけれど、堰やため池の水も温かそう、鳥の声、草や花の匂い、優しい風、おひさまの暖かさ、絶好のサイクリング日和。国吉の郷土資料館へ立ち寄り(残念ながら展示入れ替え中でお休みでしたが、波の伊八作のお神輿を見せていただきました)、国吉神社と出雲大社へ。大銀杏がご神木の国吉神社、木好きの私としては、たまらない、いい感じ。お隣は、あの出雲大社から分祀された由緒正しい神社である千葉の出雲大社。

 

 お昼を食べてから、万木城公園へ。展望台への坂道は急で、さすがの電動自転車も頑張りが必要。

 ここはすごく見晴らしが良い。そして…桜が咲いてる!! 思わず、やったあという気分になりました。途中の三光寺というお寺でも、池のほとりに咲く桜の風情ある姿を見ることができました。なんで桜って咲いてると嬉しいのでしょう。日本人は、DNAのどこかに、桜を愛でる心を埋め込まれているのでしょうか。明るい青空の下で見る桜の美しさ、月明かりに浮かぶ桜の妖しさ。どちらも心惹かれます。

「桜の木の下には屍体が埋まっている。」「桜の森の満開の下の秘密は誰にも今もわかりません。あるいは孤独というものであったのかもしれません。」 名作を紐解いてみたくなりますね。これも桜の持つ魔力でしょうか。

 

 思いがけず出会えた桜に心乱された後、いすみ環境と文化のさとへ。小さな水路では、子供たちがザリガニを釣ろうと竿を持って歩いている、のどかだなあ。家の子供たちも小学生の頃、善福寺川でよくザリガニ釣りしてたな、なんて思い出しました。古びた木のベンチに座って、里山の景色を眺めていると、時間が止まったよう、思いっきりぼーっとしてきました。春満喫の一日になりました。

 

 さて、実は家にも、桜の木がありました。それが今日咲いているのを発見。白い花、葉っぱも出てるから山桜かな。ソラマメも紫の花をたくさん咲かせています。まだまだ春は続きそうです。(3月31日 佳)

 

「逃げ遅れる人々」

 

東日本大震災から5年が経ちました。

 

あの日、私は、東京の中野特別支援学校にいました。当時の仕事は、障害児の放課後支援のNPO で、ちょうど知的障害の高校生の子どもたちを学校に迎えに行っていました。大きな揺れで、その場にいた全員が学校の体育館に避難。そのままそこで4時間ほど待機、保護者の方に連絡がつくまで待ってくださいと言われて、体育館で障害のある子供たちと居ました。携帯もつならがず事務所に連絡も取れず、状況もよくわからない、でも意外と落ち着いていられました。不思議だったのは、子供たちも静かに待っていられたこと。たくさんの障害児がいて、パニックを起こしたり大変なことになるだろうと覚悟しましたが、そんなことは全然ありませんでした。

彼らは状況を理解し、どうしようもないことを感じ取り、じっと待っていたのかもしれません。

あれから、もう5年になるのですね。

 

来週、炎の雫ではドキュメンタリー映画「逃げ遅れる人々」の上映会を行います。3月17日木曜日、19:00スタート。1ドリンク付き1500円。

 

 私がこの映画に出会ったのは、2013年の秋。当時勤めていた児童館の先輩が、映画の上映会と監督のトークを企画し、そこに参加しました。監督は、、映像グループ「ローポジション」の飯田基晴さん 。ローポジションという名前には、低い視点から弱い人たちに寄り添うという思いが込められています。そういう方なので、「若いときから、障害のある人たちにもいろいろかかわってきた、なのに、震災の時、彼らのことなど思い出しもしなかった。そういえば障害のある人たちはどうしていたのだろうと思ったのは、ずいぶん経ってからでした。」と話されました。

 被災した障害者のためにまず動いたのは、障害を持つ人たち、つまり当事者支援。障害者の視点で、生きるために必要なもの、なくてはならないものをピックアップし、それを持ってすぐに出発したそうです。

 避難所や仮設住宅に入った人、また周りに迷惑をかけるからと避難をあきらめた人、原発事故のために避難区域に取り残された人、行き場を求めてさまよう人、…飯田さんは丁寧に話を聞き、映像に記録しています。

 私は、原発の問題に直面した福島の車いすの女性が、「私たちは何もしてこなかったんだ」とつぶやく場面に胸を打たれたました。あの時何が起きたのか、障害をもつ人たちが何を感じ、何を考えたのか、それがどう続いているのか まずはそれを知ること。そして、考えること。それが必要だと思います。

 

 東北の復興は全然進んでいない、と2年半前に飯田さんは言っていましたが、5年経った今も、全然進んでいないと聞きます。仮設住宅の期限はあっても、行く先ができていないから、延長せざるを得ないというところもあります。新築の家を建てる人がいる一方で、どうしようもなく、何も変わらない人がいる、場所によって、人によって大きな差ができているとも聞きます。被災地から離れていると、すでに過去のことのように思ってしまうこともあるけれど、そうではないのだと思い出さねばなりません。原発の問題ですら、ニュースにあまり登場しなくなっている現実。何も解決していないのに、忘れてしまってはいけないのに、忘れられようとしていること、それを考えなくてはと思います。

 

 今まで、炎の雫では、この映画を2回上映しています。

 

2014年の5月には、「カンタ!ティモール」と「逃げ遅れる人々」の連続上映をしました。その時、ブログに書いたのが以下の文章です。

この3日間に考えたのは、人が生きていくことの重さ・命の大切さ。それを感じ、考えるきっかけになるというだけで、この上映会の意味があったと思っています。映画を見てくださった方が、それぞれの生活の中で、思い出したり、考えたりしてくれればいいなあ、それがこの先、何かにつながっていくのでなないかと思います。もちろん私たちも考え、行動し続けていきたいと思います。”

 

 さて、あれから自分達は何を考え、何をしてきたのか、反省と自戒を込めて、改めてこの映画に向き合おうと思います。どうぞ、あなたも考えてみてください。多くの方の参加を、お待ちしています。 


(3月10日 佳) 

 

 

 

冬・ぬくぬくと

 

冬真っ只中ですね。お正月はぽかぽかだったのに、1月中頃から寒くなってきました。すぐそこのコメリに灯油を買いに行く生活をしています。もともとファンヒーターが2台ありました。寒くなってきて、奥の畳の部屋でもヒーターを使ったりしていると、お店の方になんかもうちょっと暖房をと感じる寒い日。普通の灯油ストーブを買いました。電気を使わない、ただのストーブ。5980円。これがすこぶる良いです。停電したってあったまれるし、上にやかんをのせてお湯が沸かせる、網をのせたら、干しイモをあぶれる、おもちだって焼ける、お鍋をのせれば煮物もできる。正しいストーブです。これだよね!赤い火を見ていると、それだけであったかい気がする。湯気の立つやかんは、のどが潤いそう。ストーブの近くで、ぬくぬくと温まる、正しい冬の過ごし方な気がして、なんだかほっこりします。思い出せば、結婚したての頃、家にアラジンのブルーフレームがありました。子供が小さくて危ないから、周りを囲う柵もあったかな。それが、ファンヒーターになり、灯油を買うのが大変だからとガスのヒーターになり、上にものがのせられるストーブなんて、すっかり忘れていました。今思い出したのだけれど、上の子が小さいときは、幼稚園でお弁当をストーブで温めてくれて、だからアルミのお弁当箱にしてくださいと言われていたなんてことありました。一台何役もする、昔ながらのストーブの力を改めて感じています。

 

さて、寒いとはいえ、千葉です、東京に比べたら暖かい。晴れてさえいれば、昼間は暖房なしで過ごせます。

おひさまの力は偉大ですね。特にお店の方は、日が射せばポッカポカです。エントランスのところなんか、サンルーム。年末に買ったシクラメンが花盛りです。これは、12月の終わりに、東浪見の菜の花で半額で買った鉢、200円くらいだったと思います。もう以か月以上満開です。あたりでした。この辺の産直のお店は、とっても楽しいしリーズナブル。なんだか珍しい野菜もあった理します。この間は、ビタミン大根というのを10円で買いました。ま緑の小さな大根、これなあに?と聞いたら、ビタミン大根だよ、普通の大根よりビタミンが多くて生で食べる大根って教えてくれました。おろしかサラダでと言われたので、おろしてみると、中までしっかり緑色。始め甘いと思ったけれど、大根の辛さのような片鱗もある。美味しい野菜でした。

また買いたいな。

 

今週火曜日の晴れた日、久しぶりに海へ行ってみました。魔法瓶にコーヒーを入れ、こなてというパン屋さんでおいしいパンを買って海岸へ。大原の手前の南房総国定公園と書いてある小さな木が立っている海岸。この前夫が自転車に乗りに行って発見したところ。ほとんど誰もいなくて、すっごくいいところ。ここでパンとコーヒーのランチ。それから、いすみの海洋センターのところの海岸へ。ここは、前に来て好きだなあと思ったところ。サーフィンの練習をしている人を時々見ながら、しばらく海を眺め、気持ちをふわふわさせてきました。ものすごく豊かな時間。海はいいなあ。

 

 

 

季節は静かにすすんでゆきます。家の野菜たち、白菜はお鍋にして食べっちゃった。ブロッコリーは一度取った後に出てきた小さなのを昨日食べました。年末にキャベツとソラマメを植えたけど、キャベツはちっとも育ってない。さてどうなることやら。やたらと咲いていた水仙は、終わりに近づいているよう。その代り、庭の梅の木が咲き始めました。白い花がいっぱいついています。梅の木はもう1本あります。こちらは花はまだ、何色かしら。梅の実はなるのかしら。時が経てばわかりますね。季節に任せて、眺めていましょう。 (2016年2月5日 佳)

 

 

 

年末年始は自転車で…

 

 

新年あけましておめでとうございます。

 外房で迎える初めてのお正月、暖かくて穏やかなお正月です。

 

年末年始のお休みを利用して、自転車であちこち出かけています。

 

28日、まずはちょっと遠出、どこ行こうかなと話していて、そうだ!お蕎麦食べに行こうということになりました。田舎暮らし房総ネットの武田ご夫妻が、お蕎麦屋さんに行った帰りに寄って下さったことがあり、美味しいお蕎麦屋さんと教えて下さったのを思い出しました。東浪見だし、何とか行けそうと出かけました。「楽月」という10割蕎麦のお店です。車が通る道沿いだけど、田園風景の中の古民家でいい感じ。お蕎麦はというと、とっても美味しかった!10割とは思えない滑らかさ、きりっとしたつゆ、思わず減塩は忘れて飲み干したくなる蕎麦湯。鴨や鰊の具材も美味で、久しぶりの大満足でした。(ちょっと量は控えめだったけどね)帰りに東浪見の産直センターに寄ってみたら、年末でお花が半額、シクラメンとパセリとイタリアンパセリを買い、お野菜も買って帰りました。充実です。

 

 翌29日は前から噂に聞いていた、一ノ宮のcafe「KUSA」まで、頑張って行きました。自家焙煎のコーヒー豆を買いに、夫は一度行っていましたが、私は初めて。一ノ宮までは裏道と海沿いの道で走ります。う~ん気持ちいい!KUSAは絶対に一人では行けないなという場所にありました。ここも、噂通りの素敵な場所でした。庭の木々を眺められるカウンターで、ゆっくりコーヒーを飲み、マフィンをいただきました。お皿にちいさなまっ白のマフィンが二つ、ひとつはベーコンとチーズがはさんであり、もう一つはハチミツバターがぬってある、優しい味でした。コーヒーもなんとなくやさしい味、オーナーご夫婦の人柄がコーヒーに出ているんだなあと感じます。実は、12月の始めに、大網のギャラリーtenで行われたシュト―レンの会に出品されていたこちらのシュト―レンが気にいって、それを購入してかえって来たこともあって、KUSAにはぜひ来たいと思っていたので、嬉しい体験でした。帰りは一ノ宮の100均・ダイソーに寄って帰りました。この日は25キロ走ったそう、ふ~。

 

次の日は、ちょっと疲れたので、どうしようかと思っていたのですが、いすみチーズマップを見ていて、なんとなく近そうだから、「あん里山」というパン工房を探してみようということになりました。椎木の三叉路から向こうの方は里山風景が広がっています。海じゃなくて山の景色、これもいい感じです。目的のパン工房はみつけたものの、お休みでした。年末だししょうがないね。もともと、週末だけの営業みたいです。長者町の方をぐるっと回って、レオに寄って買い物して帰りました。

 

 さて、31日は、夫は高円寺の稲生座のカウントダウンに行き、1日からは息子が来ていたこともあり、お雑煮を食べ、駅伝観て、おうちでのんびり過ごしました。

 

 そして昨日1月4日、自転車再開、初詣に行こうと、近くの神社めぐり。まずは、太東郵便局の先にある玉前神社へ。無人の小さな神社だけど雰囲気あり、山なんて全然ないのに山の中な感じが出ている。いいな、ここ、お散歩で来ようっと。さて次は、岬町中原の玉崎神社と琴平神社というのがあるので、田んぼと畑の中を走って行ってみました。ここがまたいい感じ。しめ縄の輪くぐりをして本殿にお参り、大きなご神木もある。琴平神社というのは、玉崎神社のなかにあり、鳥居をくぐると、そこに木と石があるだけ。ご神体が木なのでしょうね、すっごくよいです。私は木が大好きなので、ここは本当に大好きです!そこから、せっかくだから灯台の方へ行くことにしました。その前に飯縄寺へ。前に一度来たことがあるのだけれど、その時は夕方で見られなかったので、今回は本堂へ上がり、拝観させていただきました。波の伊八の彫刻は素晴らしい!お庭も素敵で、いいお寺です。4日ということもあり、人もほとんどいなくて、ゆっくり見ることができました。それから、太東灯台へ。電動自転車の威力はスゴイ、ちゃんと登れます。こちらは結構混んでました。ドローンを飛ばしている若者がいて、彼にいろいろ質問してるおじさんがいたり、カップルがいたり、車いすを押して坂を下りてきたご夫婦も。今日ははあったかいし、きれいだし、気持ちが和みます。展望台から穏やかな海を見て、しばらく時間を過ごしました。ここから見ると、視界に海以外のものがなくて、水平線がカーブして見えます。地球はまあるいのだなと感じることができる場所。ここも大好きです。

 

 そんなこんなで、のんびりと毎日を暮らしています。

 さて、今日はどこへ行こうかな。

 

 今年もよろしくお願いします。 佳 (2016年1月5日)

 

壁に絵を描く


11月の終わり、かねてから進行中だった物置改造計画が、一応の完成を迎えた。

この家の物置、結構広くてしっかりした造り、物置にしておくにはもったいない。半分冗談で、物置を作業部屋にしたらどうかと話していたのだが、家の改装が終わり、お店が何とかできるようになった頃、にわかに物置改造計画が現実味を帯びてきた。半分は物置として使い、半分を防音室にして夫が使う、ということで話がまとまった。その工事が終わった。例によって、外側のペンキ塗りは自分たちでやることにした。久しぶりのペンキ塗り、楽しそうと思ったのだけれど、まずは防水のための下地で、これは硬くて難しそう、夫がやることになった。それが乾いたら、いわゆるペンキ塗り、薄いクリーム色で塗ることにした。これもだいたい夫が塗った。結構楽しそう、勢いがついたと言っていた。ところでなんでクリーム色かというと、その上から絵を描こうと思ったから。壁に絵なんて描いたこともないのに、何の疑いもなく絵を描こうと決めていた。断られるかなと思いつつ、絵描いていい?と聞くと、いいよ~と言ってくれたので、絵描きさんを決行。


描くのは炎の雫のマーク。これは、高円寺の店を始めた時に、私の大好きなミュージシャンでありアーティストである神吉絵さんがデザインしてくれた看板のマーク。それを壁に大きく描く。色は、炎の赤と雫の水色の2色。コメリで水性ペンキを買ってきた。まずは、段ボールで型紙を作った。はさみとカッターで切り抜く。大胆だなあと、自分で思う。それを外に持って出て、壁に下書き、鉛筆じゃ書けないので、クレヨンで型取る。そして、ペンキを片手に、筆で描いていった。面積が少ない赤から、赤は火の玉みたいな感じなので描きやすいかな。水色は、アメーバ―みたいな形、なんだか原画とちょっと違う形になってしまった。ペンキの色は思ったよりも濃いブルー。でもいい感じ。始めは広いところは刷毛を使おうかと思ったけれど、結局全部筆で描いた。これが何とも楽しい!筆にペンキをべったっとつけて、塗り重ねていく。油絵を描いてるみたい、でも油絵なんて描いたことないけどね、たぶんこんな感じなんでしょうね。ほんとに、えもいわれぬ楽しさ。夢中で塗り進めていく。表側と道路側の2面にロゴマークを描いた。気が付くと、日が傾き、手が冷たい、足が冷たい。何せ、玄関側は北向きで寒いのだ。今日はここまで。「すっごい楽しいよ、もっと描いていい?空いてるところに水玉描いていい?」と聞くと、ちょっと躊躇しながら、少しならねという返事。夫は何か不安を感じているみたい。


翌日は、朝の8時から作業を開始。今日はまず、表側の空いているところに、赤と青の水玉模様、そのうちいくつかは火の玉型にしてみた。さて、ここで衝撃の事実が判明。水色のペンキは混ぜたらちゃんと水色だった。昨日はもしかして混ぜないで使ったかも!?だから濃いブルーだったんだと納得。ま、いいか、おかげで、1缶でブルーと水色の2色になったんだから、お得だったと思えばいいと、理屈をつけて続行。表側は、水玉を散らして完成。ちょっと草間彌生入っているかしら。一部ペンキが流れて現代アート風になったけど、それも味ということで。さて、壁に絵を描く楽しさは、ますます募る。まだ描いていなかった裏側の面にも描いちゃおうと思いつき、水玉は中断して、そっちにとりかかる。こっちの面の雫は形を修正して少し縦長に、より本物に近ずく。色も水色なので、本物に近い。あんまり楽しくて、時間を忘れる。お昼ごはんを挟んで、水玉を再開。水玉って結構難しい。どこにどっちの色を配置するか、やってるうちに、ここも、そこもあった方がいいような気がしてきて、あんまり増やしすぎないように心を鬼にして止めた。こんなもんかな、これ以上やったらやばいとい思うところでおしまいにする。夫を呼んでみてもらうと、いいじゃないという言葉、ふぅ、なんとか怒られずに済んだ。あぁ楽しかった!もっと描きたいな。どこかに絵を描ける壁がないかと、家じゅうを物色している自分がいた。考えてみたら、東京にいたら絶対に知らなかった楽しさ、新しい発見でした。


ちなみに、この夫の作業部屋には名前がつくらしい。(12月6日 佳)



秋、収穫と読書、そして希望の野菜たち

秋が深まってきた。夏に植えて、秋になっても実を付けていたキュウリが、10月の終わりには壊滅した。最後は、小さな実がいくつか付いていたのだけれど、その実ごと干からびてしまった。そうなったら一気に枯れはてた。とにかく実験と植えてみて、水をやってただけにしては、ずいぶん何本も食べられて上出来だった。さて、秋の実りは、柿に続いてキウイの収穫。ここに引っ越してきた時からなっていたキウイ、いろんな人に聞いたり、ネットで調べたりして、収穫するのは秋の終わりでもいいとわかり、大きくなったのから、何回かに分けて獲った。実はこのキウイ、ものすごく美味しい。いい匂いがするし、甘いし、売ってるキウイより数段美味。何にもしてないのに、こんなキウイが手に入るなんて、ほんとラッキー。一昨日、最後の収穫、15個。キウイは冷蔵庫で保存しながら、食べようと思ったら追熟させて、何か月かは計画的に食べられるらしい。なんと便利なフルーツなのだろう。大事に食べていこうと思う。

収穫と言えばもう一つ、静岡の天竜で収穫された椎茸が大量に届いた。これは、私の弟夫婦が作ったもの。弟は今まで、お茶をやりながら林業をやっていたが、この夏林業の会社を辞めて、椎茸を作り始めた。そして秋の実りの収穫、大きな段ボールいっぱいの椎茸が届いたのだ。このところの暖かさで一気に開いちゃったのだとか、まあるい形の良い椎茸ではない。どうしよう、こんなに大量の椎茸。まずは焼いて食べる。おいしい!いっぱい食べたけど、全然減らない。ご近所の方達にもらっていただいてもまだ半分にもならない。冷凍してもいいとおしえてもらったので、イシヅキを取って冷凍し、柿に引き続き、干し籠を使って干すことにした。今日はやっとお天気がいいので、朝から椎茸干し。籠に入りきらない分は、廊下で新聞紙に広げて干している。なんだか、そこはかとなく椎茸の香りが漂う。


秋と言えば、読書の秋、やっと落ち着いてきたので本が読めるようになった。私は、森博嗣の本を読み返すことにした。森博嗣はミステリーなのだけれど、とても哲学的、何故人を殺してはいけないか、殺人とは最も人間的な行為であるとか、科学とは何か、人間とは、意識とは、自分とは何か、なんてことが殺人事件の合間に散りばめられている。それがとても面白い。S&Mシリーズ、Vシリーズ、四季4部作ときて、実はそれらが繋がっていて、その後のGシリーズへ、これは全部揃えて読み直そうと決意、ブックオフで大人買いをした。と言っても、1冊100200円なので、数千円で揃ってしまう。ブックオフのネット版は本当に便利。この際だから、今まで何冊か欠けていたブラックジャックと、15迄あるけれど、最終の6巻があることを最近知った大友克洋のAKIRA6も買おうと、発注。届いたら、夫はAKIRAを読み直しにかかっている。彼の読書の秋は、漫画かな。


さて、キュウリの実りに気を良くした私たちは、コメリでいくつかの苗を買ってみた。白菜とカリフラワー。微妙なものをと言われたけど、そうかな、私は好きな野菜だけれど。それから、おじいさんの畑のところで売っていたブロッコリーの苗と、ごじゃ箱で買った分葱。おじいさんが肥料もくれたので、今度は水+肥料をちょっと。でもやっぱり植えっぱなし。なのに、だんだん育ち、白菜とレタスはなんだか真ん中が丸まってきた。そして、カリフラワーの葉の中央に、白い小さな希望が現れた。ほんの小さなカリフラワーの赤ちゃん、なんと可愛いの、こんなふうにできてくるんだと感動。ブロッコリーはまだ葉っぱだけだけど、分葱は時々ちぎってきて使っている。白菜とレタスも、らしくなってきた。希望の野菜たち。どのくらいになったら食べるべきなのか、悩ましいけど楽しい日々

だ。田舎暮らしっぽいかな。 (11月21日 佳)


きんつば

椎木商店街に「きんつばや」というお店がある。

かさやという小さなスーパー&大盛りの食堂の並び。

私たちが太東に引っ越した頃は、きんつば屋さんだった。実は甘いもの好きのうちの夫が、きんつばを好きで、一早く反応した。その時は、「じゃ、今度買ってみようね」と通り過ぎたのだが、その後、通る度に見ても、お店が開いていない。いつやっているんだろうと思っていたら、夏になって、かき氷屋さんになってしまった。「きんつばはないんですか?」「夏は氷だけなんだよ」、残念、ま、秋の楽しみにと思っていた。


そして、昨日、郵便局に行った帰りに、かさやさんでお刺身でも買おうと行ったら、きんつばやさんがやっている。やった!おやつに買って帰ろう。営業中の札の横に、『つぶあん・しろあん・クリーム』とある。あれ、なんか変、見るとたいやきの型みたいな丸い型があって、うん?と思いながら、「じゃつぶあん2つ下さい」。出てきたのは、丸くて茶色い今川焼だった。え~きんつばじゃない!これ今川焼でしょと思いながら、家に帰った。


夫に、「ついにきんつば買ってきたよ、でもね、ちょっと詐欺かも…」「これ今川焼じゃない」「そうだよね。でもこれきんつばって売ってたよ」なんて会話しながら、まずは食べちゃった。普通に美味しかった。さて、それから、きんつばについて検索。今は何でもすぐ調べられて便利ですね。すると、衝撃の事実が判明したのだ。きんつばというのは、あんを丸くして、衣をつけて焼いたもの。ただし、新潟県や千葉県の一部では、今川焼(大判焼き)のことをきんつばと言うとある。ここは千葉県、そうか、これきんつばで正しいんだ。びっくりです。詐欺なんて思ってごめんなさい。


ちなみに、私たちが思っていたきんつばは、四角くて、薄い衣を付けて六方を焼いてあるあんこのお菓子。夫は大阪、私は東京育ちだが、二人ともきんつばは四角いと思っていた。これは、角きんつばというらしい。もとともは、刀の鍔の丸い形を模し、ぎんつばと呼ばれていたものが、銀より金の方がいいということで、きんつばになったという。だから、丸いのが正しいわけで、これにもびっくり。知らないことってたくさんある。


ちなみに、この日は、かさやさんで、鯵のたたき298円とまぐろのたたき298円とお豆腐を買って、

残っていたレンコンの煮物の残りとキュウリとトマトで、豪華な夕食となった。かさやさんのお刺身は、いつも新鮮でおいしくて、その上安くて、大助かりの大満足。外房に越してきて、食生活は、東京の時よりずっと豊かになった水野家です。 (11月5日 佳)



太東での初ライブ

ライブ報告 いとうたかお 20151026


10月26日、太東に来て初めての本格的ライブをやりました。

いとうたかおさん、通称ペケ、名古屋のベテラン実力派シンガーです。2週間ほど前からツアーに出ていて、東北の方から南下してきた最終日に当たりました。

私は聞いたことがなく、とてもいいよ~という噂もあって、楽しみにしていました。


炎の雫でのライブは、基本生音・生歌です。小さな空間で、目の前にいるお客様に伝えるのに、電気的に増幅する必要はないと私は思っています。そして、できればワンマンで、じっくりとその人の世界を聞かせてほしい。その人の作り上げる世界を堪能したい。(場合によっては、ツーマンだったりもするけれど)

ライブのみならず、生のパフォーマンスというのは、観る側にとっては非日常の時間です。そこは、特別な空気の感じられる特別な場。明日から生きていくための糧になる、そんな場であってほしい。そのためには、演る側は、本気で、真摯であってほしいと思います。炎の雫ではそういうライブをやっていきたい、何かを伝えたいと本気で思っている人に歌ってほしいと思っています。



そんな思いでやってきたこの3年、いくつかの素敵な出会いがありました。

そして、太東での初ライブ、私の思っていたことをそのままに、いとうたかおさんは素晴らしいライブを見せてくださいました。ギター1本で、言葉を紡いでいく。気がつけば、もうそこはいとうたかおの世界に変わっている。いつのまにか耳を澄まし、言葉を逃すまいと思いながら聞く自分がいました。彼自身の歌も、また、中原中也の詩やさかうえけんいちさんの詩を歌った曲も、古いシャンソンの反戦歌も、等しく彼の世界のディテールとなっている。彼には歌いたいことがあり、伝えたいことがあるとはっきりわかります。それこそが表現するということ、人に提示するものを持って、伝えたいことを伝えるために己を研磨して、その準備を整えて人前に立っている本物の表現者だと感じました。ただ自分が発散するために、自己満足のために音を出しているミュージシャンもどきが多い中で、こういうパフォーマンスを見せてくれる人に出会えると、本当にうれしくなります。

私にとってもう一つ嬉しかったのは、最後の方で水野がギターで参加させていただいたこと。ご存じのように、去年の12月に脳出血で入院してから、左手の親指が思うように動かないらしく、それ以来何度かライブでも、素人の私でもあちゃ、と思うような場面がありました。それが、この日の伊藤さんのライブでのギターは、久しぶりに思いっきり弾けている様に見えました。そして、何より、ステージの上での2人のやり取りが見えるパフォーマンスだったこと。いとうさんは水野のギターを聞きながら、歌のニュアンスを作り、盛り上げていく。水野は相手が何をどう歌うかを見ながら、それに対応していくギターを弾く、それができる水野であったことが本当にうれしかった。これこそが、生の醍醐味ですよね。そして、お客様も、ちゃんと聞き、ちゃんと感じて下さって、演奏者と観客が共にその空間を構成しているのだと感じられる、いいライブになったと思います。



これからも、こういう素敵なライブを見たい、感じたいと思っています。そのつもりで企画を考えていきます。

12月23日(水・祝)にやってくる「やなぎ」も、独自の世界を持ったミュージシャンの一人、私の大好きなシンガーです。そして水野の命の恩人でもあります。(水野の脳出血を発見したというか、変だから病院に行こうと言って車で連れて行ってくれたのがやなぎさんです) 外房のシンガーソングエンジニア・網野まことさんと共演していただくことにしました。どうぞ楽しみにしていてください。 (佳)

 

柿に取り組む

物置の横に柿の木が2本ある。たくさんの実がなった。どうにかしなくちゃ、とずっと思っていた。

さて、この柿、食べられるのだろうか、それが疑問だった。形は横長、綺麗なオレンジ色。ネットで調べてみると、渋柿はだいたい縦長だそう、じゃ食べられるかも。と、一つ食べてみたのが2週間ほど前。あ、甘い、やっぱり渋柿じゃないんだと思ったのもつかの間、口の中がギシギシする、変な後味。もしかしてこういうのを渋柿というのかもと気が付いたのは、しばらくたってから。(この間に遊びに来た私の友達たちは、柿の収穫体験をやってお土産に持って帰っちゃった。あれ、どうしたかな、ごめんなさい。)


さて、ネットで調べて、渋抜きの実験をすることにした。すると、ちゃんと食べられるじゃない、やっぱりこういうのが渋柿なのね、と納得。知らないというのは恐ろしい。食べられることが分かったら、このままにしておくのは、なんだか罪な気がして、頭の片隅には、何とかしなくちゃ、がずっとある。遂に、意を決して、「今日は柿を採る!」と決めたのが一昨日。朝からピカピカの晴れ、ちょっと暑いぐらい。脚立を持ち出して柿を採る。小一時間で50個ほど収穫したところで、もういいかなとめげた。実は、2本の木、微妙に違う。手前の木は早く実をつけ、もうだいぶ鳥に食べられたり、熟れて落ちたり。奥の木は少し遅くて色も薄め、まだしっかりしている。結局奥の木の収穫になった。


採った柿を洗って並べる。さてその処理は?決めていたのはスライス干し柿を作ること。渋柿は干し柿にするのがよいとされているけど、実は私はあまり干し柿は好きじゃない。どうしたものかとクックパッドを見ていたら、スライス干し柿というのがあった。切って干してドライフルーツみたいにする。ワインのおつまみにも、パンやケーキにもと書いてある。これならいいかもと思ったから柿採りを決行。なので、収穫した柿の皮を剥いてスライスし、ちょうど物置で見つけた干物干し籠に並べていった。3段の干し籠に、20個分くらいの柿が干せた。意外とたくさん入るもの。残った柿は、検索した保存方法で。それはティッシュを濡らしてへたのところに当て、ラップでぐるぐる巻きにしてへたを下にして冷蔵庫に入れると、熟成が進まず1か月くらいは保存できるというもの。柔らかくないカキッとした柿が好きな私としては、これいいねとやってみることにした。


こうして50個の柿の処理が終わる。でも、木を見上げるとまだ実がたくさん。まいいか、またやろうかな、それともあとは鳥さんたちにまかそうかな、と思いつつ、なんか達成感を感じた日でした。


この柿、実は渋柿じゃなかったというオチがある。剥いてて、ちょっと口に入れてみたら、あらら。全然大丈夫、このまま食べられるじゃない、なんだ干さなくてもよかったのね。でもスライス干し柿は渋柿でも甘柿でもどっちでも可とあったので、まいいかと思いつつ、ちょっとねえという気分も。つまり、手前の木が渋柿、奥の木は甘柿だったということ、来年のためにしっかと記憶に留めました。(10月10日 佳)


[カンタ!ティモール]再び

1年半ほど前、私たちはこの映画に出会った。去年の5月から、高円寺の炎の雫では、毎月上映会をやってきた。そして太東で、新たに《音・本cafe 炎の雫》を始めるにあたって、まず思ったのは、「カンタ!ティモール」の上映会を続けたいということ。この映画は、すでに炎の雫の大切な一要素となっている。


以下は、最初の上映会の前にブログに載せた文章である。

 

「カンタ!ティモール

東ティモールのことなんて、ほとんど何も知らなかった、この映画を見るまでは。

 東ティモールってどこ?何かで耳にしたことがあるような、ニュースだったかしら、それとも旅番組だったかしら、そんな程度。のどかな南の楽園?とんでもない!

 この映画を見て、私はその苦難の歴史と、それに対して長い戦いを闘い抜いたやさしく雄々しい人々のことを初めて知った。そしてそんな自分を深く恥じた。

 

「カンタ!ティモール」は、ある日本人女性がティモールで耳にした歌から始まる旅である。それは若くして独立運動に身を投じた若者が歌う歌。その歌をたずねながら、それは同時に東ティモールの苦しく悲しい歴史をたどる旅となっていく。

 

1975年インドネシアの侵攻によってポルトガル領だった東ティモールは制圧された。国連はそれを占領とみなし非難したが、日本もアメリカ・ヨーロッパも、インドネシアとの関係を重視し、黙認。ティモールの人たちは独立を掲げてインドネシア軍と激しい闘いを長い年月に亘って続づけることになる。その中で、20万人もの人が虐殺されたというサンタクルス事件があり、国連の監督下で行われた住民投票で独立が決まった後のインドネシア軍による破壊と殺戮があり、多くの命が失われていく。

 

この映画に出てくる人たちは、みな家族や友人を、大切な人を失いながら生き延びてきた人たちである。

けれど、彼らは言う、「悲しいけれど、怒っていない」と。彼らは、悲しんでも人を憎まないことを選んだ人々。なんとやさしく、なんと強いのだろう。彼らは軍の兵士を捕えても、決して傷つけず、ただひたすら話をして帰したという、それが長い戦いの間に、密かにティモール独立の支持者を広げることにつながっていった。そんな戦い方を知って、私は強い衝撃を受けた。そして映画の中に出てくる日本、彼らの「日本には何も望んでいない。ただインドネシア軍を支援するのはやめてくれ」という言葉、ODAの名目のもとに殺戮を繰り返す軍の援助をしている現実、まったく知らずにいた私は、本当に恥ずかしいと思った。

 

そんな現実の中だが、ティモールには人々の笑顔があふれている。リックと呼ばれる精霊がここかしこに現れ、人々とともにあり、時には導く。誰もがその聖性を信じ、大切にしている。美しい緑の大地には歌声が響く。ギターを持った若者を取り囲み歌う子供たち。子供たちの瞳のなんと美しいことか。その目、その笑顔は、まっすぐに希望へと続いている。いつしか思いは、わが日本へ向かう。かつてはこの日本にもあったはずのもの、さて今はどこへ行ってしまったのか、取り戻せるだろうか、まだ間に合うかもしれない。ティモールの人々には、そんな微かな望みすら抱かせてくれる力があり、この映画にはそのためのヒントがたくさん詰まっている。

 

「カンタ!ティモール」を見て、ある人が言った、元気の出る映画だよ。

「カンタ!ティモール」 勇気をもらえる映画だと、私は思う。 ぜひ見てください!!(佳)

 

Canta! Timor」 公式サイト:www.canta-timor.com

 

 ★「カンタ!ティモール」上映会と江口晶さんのトーク 103日、14:00から。予定が決まったら予約してください。お待ちしています。



高円寺から太東へ

ご縁というのは不思議なもの、千葉の外房への引っ越しは、あっという間に決まってしまった。

私たちは、長年住み慣れた杉並を離れ、高円寺を離れ、外房の太東で新しい生活を始めることに決めた。


4月の末で高円寺の「炎の雫」を閉じた。最後の月は、ライブも映画もイデアの雫もやった。

5月の連休を使って、店の片づけをした。

さて、店の荷物をどうやって運ぼうかと思案していると、救世主が現れた。千葉の家を改装して、お店ができるようにする相談をしていた工務店の社長さんが、荷物を運んでくれるという。5月の中旬に、店の引っ越しは決行された。私たちは、人通りがあまりない早朝に荷物をトラックに積み込み、千葉へと出発した。生まれて初めての海ほたるを経由して、千葉に着く。結構近いんだ。ちょうど小学生が登校する時間だった。その日は、初めて太東の家に泊まった。時々電車が通る以外は、カエルの声と風の音だけ、静かだった。


さて、店の引っ越しが終わると、今度は家の片づけ。これが本当に大変だった。何せ20年も住んでいたのだから、どうしようもなくいろんなものが蓄積されている。人はいかに要らないものを捨てずにいるのか、思い知らせれた。千葉に行ったらすっきり暮らしたいと心から思う。5月いっぱいで児童館の仕事を辞め、それからが勝負、のはずだったが、その時点ですでに敗戦気分濃厚、友達に手伝ってもらったりしながら、何とか乗り切った。


6月中旬、ついに引っ越した。家の外ではエントランスのウッドデッキの工事中、家の中は段ボールの山。ベッドルームが確保されているので本当に助かった。このベッドもこの家の前の持ち主さんからいただいたもの、住居なのに居抜きと言っていい条件で引き継いだ、それが幸いした。

その日から、また片づけの日々、この家に残されたもの、店からもってきたもの、そして自宅から来たもの、3軒分の片づけ。さらに家の中の改装も始まる。ずっとぐちゃぐちゃは続く。お店のカウンター部分が出来上がって、やっと物の置き場が見えてきた。その時点で気がつけば2か月経っていた。


ここに来てまず思ったのは、緑一面の心地よさ。あたりは木や草や田んぼや畑、本当に気持ちがいい。

そして静かさ。聞こえるのは、風がさわさわと渡る音と鳥の声、虫の声。線路のすぐそばなので、電車と踏切の音がするけど、電車は1時間に1,2本だし、車もごくたまにしか通らない。なんて落ち着くんだろう。心も体もほっとする。駅のところに小さなスーパーがあり、踏切を渡るとホームセンターがある。自転車で15分くらい行くと大きなスーパーもある。そのスーパーに行くには、田んぼの中の一本道を通っていくのだけれど、これがホントに気持ちがいい。その真ん中くらいの畑で耳の遠いおじいさんが野菜を売っている。ここの野菜があまりにもおいしくて感動した。10円で売ってくれたキュウリは甘くて、キュウリが甘いなんて初めて思った。枝豆がまた絶品。ざるいっぱいに入りきらないほどで200円。虫もついてたけど。


虫と言えば、千葉は虫と共存の生活。最初のころは、どこから来るのか家の中でいろんな虫を見かけた。小さな緑のカエルは毎日、お風呂場だったり、畳の部屋にいたり。カエルを外に出すのは夫の役目。今ではすっかり慣れっこ。見かけないと探しちゃうくらいお友達。かなり大きなクモが家の中に住んでいるみたい。ハリーポッターの禁断の森にいるクモみたいなやつ。でもクモはゴキブリを食べるそうだから、まいいか。越してすぐ、夫は小さなムカデに刺された。ムカデはやばいので、ムシコナーズを家の周りに撒いた。しばらくして私はハチに刺された。小さなハチだったのに、2週間たっても腫れている。やっぱりハチってすごいのね。

庭は芝生だったのを駐車場にしてしまったけれど、ぐるりと周囲が木に囲われている。中でもソテツの木が面白い。ここに来たときは、こんもりとした緑の山、まるで怪物みたいだったが、先日植木屋さんの手で全く別な姿に変わった。その姿も個性的、私はすっかりソテツファン。この庭はいろんな木があるという。松、梅、桜、桃、棕梠、月桂樹、藤etc、キウイの実や柿の実もなるし、バラも咲くらしい。ミントの葉っぱがいっぱい生えているのに気づいた件の社長は、それでモヒートを作ってくれた。植物に全く疎い私たちだが、結構楽しい。調子に乗って、ホームセンターに夏植えのキュウリがあったので植えてみたら、まったくただ植えて水をやっていただけなのに、キュウリが収穫できて感動。今まで4本食べたかな。ちゃんとおいしいキュウリでした。

そんなふうに過ごしながら、自転車で近所を探検。太東海水浴場の海までも15分くらいで行けることを発見。太東灯台(ここの展望台に立つと地球が丸いことがわかる、絶景です)の方に、素敵なカフェも発見、ここは石窯で焼くおいしいピザが食べられる。崖の上の個性的なカフェもある。また、この辺りはパンやさんが多い。自転車圏なら4,5件もあり、それぞれおいしいパンがある。なんだか東京よりずっとリッチな環境だ。

外の工事が終わると、自分たちでペンキを塗った。いろいろ考えたあげく、色は深い緑にした。ここでのイメージカラーは緑、窓枠やドアのガラスは淡いブルー。これは炎の雫の看板の色。緑との相性もいい。ペンキを塗るのは楽しかった。夫も私もはまってしまい、もっと塗るとこないかなと探す始末。

家の中に作ってもらったカウンターが出来上がると、やっと店のレイアウトが考えられるようになった。ずっと置きっぱなしだった段ボールを開け、食器やレコードや本を配置する。ここ外房では、「音・本cafe 炎の雫」という名前に決めた。音と本をゆったりと楽しんでもらう空間にしたい。

そうこうするうちに、もう3か月。保健所の営業許可も取れた。そろそろお店を始めようか、どういうふうにやろうかと夜な夜な、じゃないか、夜に昼に話し合っている。10月には営業を始めるつもりだが、せっかくだから、のんびりやりたいと思っている。

実は、9月6日の日曜日に、内輪のウォーミングパーティライブをやった。高円寺の炎の雫でも、半年ごとに神戸から来て歌っていた松濱正樹さんが、いつもの青春18きっぷで上京、ここに来たいというので、千葉は大網在住のシンガー畔柳賢朗さんにも歌ってもらい、水野たかしと3人のライブ。パーティライブなので食べ物も用意し、アットホームな集い。炎の雫開店当初のメニューだったチキンハムや、おじいさんの畑で買ったなす、近くのパン屋さんのパンで作ったサンドイッチ、勝浦の朝市で買った桜えび入りの卵焼きなどを作った。夏休みに東京からやってきた友達(彼女は引っ越しの荷造りを手伝ってくれた人です)が持ってきてくれたブルーベリーの冷凍を使ってケーキも焼いた。ずいぶん久しぶりに、人に食べていただくものを作った気がする。リハビリが必要ね。


今日は雨、朝から時折強く降ったりしながら、降り続いている。ここはいつもだいたい風が吹いているけど、今日はあまり風がない。だからいつもなら聞こえる風の音がしなくて、雨の音だけ。虫も鳥もどこかに避難しているのか、とても静か。コーヒーを飲みながらぼんやりと外を眺める。こんな贅沢な時間を過ごしている自分が不思議。だけどもうずっと昔からここにいたような気がする。ある友人がここに来て、私と夫がこの家に、この空間に親和していると言った。20年も昔からここで店やってるみたいだねと言った人もいる。それが縁というものか、私たちはこの家に呼ばれた。だからこんなに心地よくいられるのだろう。


皆さんもどうぞ訪ねてみてください。千葉は外房、太東の風の音を聞きに来てください。お待ちしています。(佳)